絶え間なく藍色
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
絶え間なく藍色
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__𝕀 𝕕𝕠𝕟'𝕥 𝕨𝕒𝕟𝕥 𝕒𝕟𝕪 𝕞𝕠𝕣𝕖 𝕦𝕟𝕗𝕠𝕣𝕥𝕦𝕟𝕒𝕥𝕖 𝕕𝕣𝕖𝕒𝕞𝕤.✩₊*˚
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いつもと同じ、あの日と同じ、星空の下に立っていた。
琉歌が死んでから、数日が経過し。藍空は、これまでと同じように星天界に呼び出された。
周囲には、既に他の星巫女達が召喚されていた。一人、二人――藍空を除いて、全部で六人。見当たらないのは牡牛座の星巫女、叶夜だけだろうか。彼女以外の星巫女は、全員がこの場に揃っていることになる。
星巫女全員が集められた日は、大抵何かが起こる。初めの頃はただの胸騒ぎだったそれは、今では経験則と化していた。
また、蛇遣い座の襲撃があるのだろうか。
前回の蛇遣い座の襲撃の際は、琉歌が他の星巫女の代わりに儀式を引き受け、その結果命を落とした。
呼吸さえまともに出来ていないのに、今にも命の灯火が消えようとしているのに。それでも最後の最期まで幸せそうな表情をしていた琉歌は、まるで感覚がないようで不気味に思えた。痛みも苦しみも恨みも、何も感じていないようだった。
星巫女には、何かが欠けている。以前から抱いていた違和が、はっきりと形を持って圧し掛かってくる。「感情」という概念に対してどこか線を引いて眺めているような紅愛。一人の星巫女を犠牲にするに近しい行為を、淡々と提案した刹那。友人が死んでも、一切涙を流さなかった雪涙。
星巫女に選ばれた少女は、皆どこか異常だ。異常だから星巫女に選ばれたのか、それとも星巫女に選ばれたから異常になったのか。藍空には分からないが、星巫女には何かが欠けていることはきっと事実だ。
だとすれば、藍空もきっと何かを失っているのだろう。両親に捨てられたのも、そのせいなのだろうか、なんて似合わない感傷が頭をもたげた。
蛇遣いの少女が星天界を訪れるかもしれない。また、同じことが繰り返されるのだろうか。
どうやら集められた星巫女達の考えていることは同じようで。窺うように刹那を見ては、すぐに視線を外して俯いている。
次に生け贄に選ばれるのは、自分かもしれない。琉歌のように命を落とすのは、自分かもしれない。そんな恐怖に支配されているように見えた。それは、藍空も例外ではなかった。
琉歌に儀式を任せることを選んだ時点で、こうなることは予想がついていたのに、なんて愚かなのだろう。
藍空は、儀式を止めようとしなかった。琉歌が死ぬ可能性があることを理解した上で、自分が生き延びることを選んだ。刹那の告げた言葉の全部が正しい訳ではないだろう。それを分かっているのは、藍空だけではなかっただろう。
それでも、誰も刹那と琉歌を止めようとしなかった。自分が人を殺すことになるかもしれないと分かっていても、自分の命を優先した。
誰かに負担を押し付けてはいけない。自分は逃げて、他人を苦しませるわけにはいかない。そんな一般的な倫理観が根こそぎ押し潰されてしまうほどに、星巫女達は追い詰められていた。
度重なる召喚に、自分の意思とは関係なく悪化していく体調。もう辞めたいと誰もが思っていて、そんな中での刹那の提案だった。
あの行動が正しかったとは思わない。だけど、もしあの日に戻れたとしても、藍空はきっと同じことを繰り返すだろう。何度繰り返したところで、自分が生き延びることを優先するのだろう。
なら、後悔する資格なんてなかった。後悔してもいいのは、過去を変えたいと思っている人間だけだ。どうしてこうなったのかと嘆くのは、ただ現実から逃げているだけに過ぎなかった。
夜が更けて、時間が過ぎてもなお、誰も口を開かない。
刹那でさえ何も言わず、ただ星空を眺めている。後悔しているようには見えない。何かを冷静に思案しているような表情。
先程から彼女の様子を窺っている祈鈴は、今は怯えたように俯いている。同じように視線を下げた柊葉も、時折刹那の方に目を向けては憂うように瞼を伏せていた。星巫女になって初めの頃に見た、張り付けたような笑みはどこにも見当たらない。
片割れを無くした璃星は虚ろな瞳を宙に向けており、藍空の隣に立っている紅愛はいつもと同じ空っぽの瞳で刹那を眺めている。何かを探しているようにも見えた。
体調が良くないのか、それとも何かに苛まれているのか。雪涙は一人、壁にもたれかかるようにして座り込んでいた。
星の瞬きさえ聞こえそうなほどの静寂に包まれた星天界。街の喧騒も強い雨風の音も、何一つ聞こえない。藍空達の暮らす場所から、完全に隔絶された場所。地下に少女達の亡骸が眠っているのでなければ、おそらく世界で最も清らかな場所だっただろう。
そんな星空を支配する沈黙を破ったのは、遠くから近付いてくる足音だった。神様によって揃えられた、星巫女の靴が鳴らす硬質な音。階段を下りてきたらしいそれは、儀式場へと少しずつ近付いてくる。璃星と紅愛を除く全員が、扉の方へと視線を向けた。
この場にいない星巫女は、一人だけだ。いなくなった星巫女が帰ってきたのでないならば、おそらく彼女の足音だろう。
微かな音を立てながら、ゆっくりと扉が開けられる。想像通り、扉の向こうにいたのは牡牛座の星巫女である叶夜だった。
前回の召喚の際、部屋に戻っていたのだろうか。それとも一度ここに呼び出された後、部屋に向かったのだろうか。
そんな思考を巡らせられたのは、一瞬だけのことだった。
──真っ白な彼女の両手には、まるで似つかわしくない、黒いピストルが握られていた。
数人の少女が息を呑む音が聞こえた。彼女の握りしめた黒い塊に、意識を奪われる。視界を固定されているかのように、目を逸らすことが出来ない。
震えた手でこちらに銃口を向けた叶夜は、悲痛な声で叫んだ。
「琉歌を、返せっ……!」
彼女の言葉の先は、視線は、銃口は、真っ直ぐに刹那へと向けられている。それを認識するのと、ほとんど同時だった。
神様によって作られた星空の下に、一発の銃声が響き渡った。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
⛓エゴの満場 理性の冷凍
あてのない最前線にどうして
🔥僕らは希望持って ❄️恐れては叫んだ
🔥❄️無知の彼は僕の頭上
☘️如何せんアイロニー告げてタイトに
栄誉なんて案外ノリ
⚖変わってくランデブー日々睨んでく
不甲斐ない夢はもう十分です
☘⚖🔥⛓❄大乱戦のオーダーメイド
やった者勝ちに躊躇
☘️❄️捨てされ左脳も意地も
☘⚖🔥⛓❄類のない有頂天へと
突いて上がれ少年Aよ
⛓🔥⚖稀代の未来を
掲げるくらいの
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♈︎Aries #星巫女_祈鈴
☘️祈鈴(cv.朔)
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♊︎Gemini #星巫女_璃星
⛓璃星(cv.唄見つきの)
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♋︎Cancer #星巫女_紅愛
🔥紅愛(cv.未蕾柚乃)
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♎︎Libra #星巫女_藍空
⚖藍空(cv.くろ)
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♒︎Aquarius #星巫女_雪涙
❄️雪涙(cv.海咲)
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₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴ERI ROCK様
https://nana-music.com/sounds/05585adb
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
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