〈第1話〉邂逅【前編①】
台本 由季
〈第1話〉邂逅【前編①】
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【Normal】〈第1話〉邂逅【前編①】
星が綺麗な夜だった
吐く息は白く、肌寒い季節
そんな季節など関係ないというかのように、
BAR "Selene" は 客を出迎える
扉の前に立つのは、1人の女性
闇に映える真っ白な髪に、紫色の目をしたそのひとは、小さな唇をきゅっと引き締め、その扉に手をかける
?「いらっしゃい。おや、初めて見る顔だね。」
店に入るなり声を掛けたのは、オーナーであろう人物。シャンパンゴールドの髪をオールバックにしたその男は優しく女性に微笑みかけた
?「……あ、えっと…」
?「これは失礼。俺はウィリアム・レストレード。この店のオーナーさ。お名前は?レディ。」
?「……イリス」
ウィリアム「イリスか!君にぴったりの名前だね!さぁ、好きな席に座って?」
イリスと名乗った女性はためらいながらも、カウンターのスツールに腰をかける
イリス「………ねぇ、ここは合言葉を言えばどんな情報でも答えてくれるお店?」
ウィリアム「これも何かの縁か。今夜は特別に合言葉なしでも教えるよ。」
イリス「え!?そんな」
ウィリアム「その代わり、またこの店に来てよ。それがお代さ!」
イリス「…………分かったわ。実はね………」
ーーー
ウィリアム「なるほど、どうしても会いたい人が居るけど、その居場所を知らないのか。ちなみに、どんな人なんだい?」
イリス「………とっても優しい人。」
イリスの雰囲気が柔らかいものになる
ウィリアム「へぇ!」
イリス「怒ると怖いけど…でも、それは全部、わたくしを思って言ってくれるの」
ウィリアム「ちなみにその人は男性?女性?」
イリス「……わたくしが探しているのは、お姉ちゃんなの。たった1人の大切な家族。」
ウィリアム「奇遇だね!俺にも姉が居るんだ!」
イリス「そうなの?わたくしのお姉ちゃんはね、頭もいいし、喧嘩も強くて、」
ウィリアム「へぇ…随分アグレッシブなんだね」
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