ジャックポットサッドガール
syudou/Covered by🏰アリシア
ジャックポットサッドガール
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第3話🏰編「かき消された記憶」
「アリシアさまではありませんか!ご両親はあなたを捨て置いて幸せに過ごしてらっしゃいますでしょうかね?」
「…さあ。あの人たちのことはどうでもいいです」
にやりと嗤う魔物に視線を一切送ることなく、アリシアはため息をついた。
アリシアは、望まれなかったこどもだった。
両親が不仲だったとか、生まれたことで離婚できなくなったというわけではない。
むしろ離婚など考えることもないくらい、両親はとても仲が良く、互いを愛していた。
…互いだけを、愛していた。
アリシアが生まれてからというもの、母親はアリシアのお世話をしなければいけない時間ができ、父親と顔を合わせられない日々が続いた。
両親はストレスがたまっていき、やがて必要最低限しかアリシアに構わなくなった。
食事や勉学の面倒は見るが、今後一切自分達に迷惑をかけられないようにと厳しく接した。
アリシアは実の親から邪魔者扱いを受けていたのである。
そのことに気がついたのは、アリシアが学校に通い出した頃だった。
明らかに周りとは違う自分の状況に、絶望感を抱いた。
それと同時に、親に愛を求めることを辞めてしまった。
そしてだんだんと、他人に厳しく冷たく当たるようになっていった。
そしてある日、家から追い出されるようにしてアンジュの屋敷で働くことになった。
「本日よりこちらで働かせていただきます、アリシアと申します」
ずいぶん若い年齢で入ったアリシアは、簡単な仕事でさえ苦労した。
そんなアリシアは、庭掃除を手伝っている間に、本来であれば会うことのできない屋敷の主人と、その娘のアンジュに出会った。
「…アンジュに歳が近い使用人などいたか…?」
「最近こちらで働かせていただくようになりました」
「…ふむ。失礼だが年齢を伺っても?」
「16歳です」
「…!!」
幼いアンジュは歳の近いアリシアに興味を持ったらしく、後日屋敷の主人によって彼女のお世話係に任命された。
「アリシアと申します。よろしくお願いいたします」
「よろしくね!アリシャ…?」
「発音しにくいですか?でしたら、アリーで良いですよ」
「うん!アリー!」
アリシアは無邪気に笑うアンジュに、ああ、この子は愛されているんだなと感じた。
お世話係になってから、アンジュにほぼ1日中同行することもあり、アリシアは少しずつ違和感を覚えていった。
そして、アンジュが「次期学園長」として怒られているのを見た時に、アリシアは自分があの時思ったことは間違いだったと気づいた。
そして同時に、自分がアンジュ自身を見てあげなければと強く思ったのだ。
それから、アリシアは基本的に"アンジュお嬢様"と呼び、アンジュに寄り添い続けた。
そんなアリシアに懐いたアンジュは、直接屋敷の主人にお願いし、アリシアを専属使用人にしたのだった。
「そんなくだらないことを蒸し返して、何がしたいのですか?」
「動揺を誘っていますのよ♪たくさん動揺してくれれば、ワタシたちがアナタたちの感情を操ることなんて造作もありませんもの」
「へぇ。それは明かしてしまって大丈夫なのですか?」
「ええ、だってアナタの嫌な記憶でしょっ!?」
アリシアは魔物が言葉を言い終わる前に魔法を放った。
魔物を倒したアリシアは小さくため息をついた。
「両親といた頃の記憶なんて…あの屋敷で過ごした記憶にかき消されて、無いようなものですよ」
アリシアはふっと笑うと、魔物のいた方向へと歩き出した。
to be continued…
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「ジャックポットサッドガール」
🏰アリシア(cv.らる)
標準偏差以内の人生
表情殺して腐った品性
ほらほら気づけばまた
ただただ過ぎ行く日々
表現欲も非凡な才も
漫然と生きてちゃなんもなんないの
ヤダ ヤダ アタシはヤダ
嘆けど変わらぬまま
受け入れ難い心情をねじ込むのが愛なんだ
アタシはジャックポットサッドガール
分かり合えぬまま 点と線でエンドロール描く日々の中
誰にも言えないまんま抱えた想いこそ価値があるんだ
探していた答えだって 未来みたいに手の中に
。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。
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#Cooperationjourney #こぺじゃに
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