序章. Titelblatt-本の扉-
𝒻ℯℯ𝓇𝒾ℯ
序章. Titelblatt-本の扉-
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序章. Titelblatt-本の扉-
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キレイな建物が建ち並ぶ中。
その一角に、不釣り合いな建物がひっそりと佇んでいた。
「こんな所に、こんな建物あったかな??」
偶にしか通らない道ではあるが、建物に気づかないなんてことはあるのだろうか。
外観を見渡してみる。
「看板…とかないし、お店?でもなさそうだけど…」
だけど、何故かとても気になる。
何かに引き寄せられるかのように、あなたは蔦が這う建物の前に立ち、そっと扉に手を掛けた。
ギィィィ
重い音を立て、古びた扉は貴方を招き入れる。
「あら、いらっしゃい。」
カランカラン、と鳴り来客を知らせる鐘に、カウンターに座る女性が微笑んだ。
こんにちは、と返し周りを見渡す。
天井まで伸びる本棚が隙間なく並んでいるのが視界に入った。どうやら、此処は図書館のようだ。
「ゆっくりしていって。」
嬉しそうに微笑んだ彼女は、先程まで読んでいたであろう本に視線を落とした。
特に用があったわけでないが、立ち寄ったのも何かの縁だ。久しぶりに何か読もうと本棚を見た時、1冊の本に目が止まった。
「𝒻ℯℯ𝓇𝒾ℯ??」
アンティーク調の古びた表紙を指でなぞり表紙を開く。其処には楽しそうに笑い合い、肩を寄せ合う童話の登場人物たちが描かれているのだが、何処か違和感を覚え、目を凝らす。その中には悪役である登場人物も描かれていたのだった。
貴方は本を胸に抱え、日差しが差し込む窓際の席へと腰掛ける。
その本は、貴方をどんな物語に導くのか──。
貴方は、再び本を開いた。
ℳ𓂃 𓈒✍︎
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