#ピアンタ特別病院
Giardino segreto09/刹那プラス
診察室の奥、扉を二重に超えた先。
ここはクゥリの私室。光の届かない場所。
「……この調子なら、時間の問題だ」
部屋を埋める棚のガラス戸には、全てに紙が貼られている。
人物の写真と、その名前。花の種類。
それぞれの収納には、真綿に包まれた種が一粒、大切に保管されていた。
「君もそう思うでしょ?」
クゥリは内ポケットから一等丁寧に保管された一粒の種を取り出して、優しく語りかける。
──ここはかつての花たちが眠る場所。
僅かな種を残して枯れた花が残した、最後の命。
この病院だから残ることが出来た、本来形見すら残さず燃やされる患者たち。
部屋には、アハトに使用したものと同じ香りが漂っている。
優しく懐かしい、温かみのある香りが。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ㅤ ㅤ Voice actor
クゥリ🟢霜村
Comment
No Comments Yet.