花餐症
楽園市街
花餐症
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#ピアンタ特別病院
Giardino segreto06/花餐症
「この調子なら、1ヶ月後にはまた咲き始めるだろう」
「ねえ先生。お兄ちゃんの体は──」
「俺の話はいい。それよりお前の話をしろ」
アノンとアハト。二人は兄妹だ。
とても、仲がいいとは言えないかもしれないが。
妹、アノンの体に咲いたのは真っ白のユリ。
その蕾はぷっくりと膨らみ始め、咲き誇るタイミングをじっと窺っている。
そして車椅子に座った兄、アハトの体に咲いたアジサイはちょうど満開となっていた。
クゥリは僅かにアハトを見て、もう一度アノンを見る。
──アノンの進行度は標準的。
このままいけば確実に悪化して、アハトと同じように車椅子生活になるだろう。
カルテにそう書き残して、クゥリは二人に向き直った。
「うん。じゃあ今日の診察はこれでおしまい。
植物治療の準備はすぐに出来るから、君達が答えを出した時にいつでも言ってね。
……医者の立場から言えば、なるべく早い方が嬉しいけど」
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ㅤ ㅤ Voice actor
アノン⚪おとの。
アハト🔵てば
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