限りなく灰色へ
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
限りなく灰色へ
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__𝕀'𝕞 𝕔𝕣𝕪𝕚𝕟𝕘 𝕙𝕖𝕣𝕖 𝕗𝕠𝕣 𝕥𝕙𝕖 𝕣𝕖𝕤𝕥 𝕠𝕗 𝕞𝕪 𝕝𝕚𝕗𝕖.✩₊*˚
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視界に、ぼんやりと靄がかかっている。
雨の日の空気を見ているかのような、視界に磨りガラスが嵌め込まれたかのような。
そんなくすんだフィルター越しに、世界を見ているようだった。
微かに差し込む星灯りも月光も、薄らいで揺れている。
希望の象徴として語られるはずのそれは、酷く頼りなく見えた。
張り詰めた空気が揺らめき、揃いの衣装を身に着けた十人の少女達が、星空の下に集まった。
誰も何も言わない、探り合うような空気。
ぴったりと扉が閉じられた、星空の中の空間。
いつか酸素が尽きてしまうのでは、なんていう有り得ない空想に取りつかれる。
星巫女達の表情は、皆一様に暗かった。
ただ俯いて、呼吸を殺している者。今にも泣き出しそうな顔をして、震えている者。
ほとんどの星巫女が星天界に集められたことが、不安で仕方ないのだろう。
あの少女に、また襲撃されるかもしれない。
誰も口には出さないが、その考えは同じだった。
言葉にしないのは、そうすれば予感が現実のものになってしまいそうだから。
ぼんやりと霞んだ空気は、逃避の方向へと傾いていた。
そんな空気の中でも、異様な星がふたつ。
不安そうな周囲が理解出来ないとでも言いたげに、可愛らしいと評されるだろう笑みを浮かべたままの乙女座。
周囲の重い空気など少しも気にせずに、太陽を向く向日葵のように、一人の少女――刹那の方をじっと見つめ続ける蟹座。
二人とも、自分が異様だとは少しも感じていないように見えた。
――否、この状況下にあって、何が異様で何が異様ではないかなんて、ただの柊葉の主観でしかないのだけれど。
具体化された不変の尺度も、相対的価値観も、既にその形を失っていた。
柊葉の尺度で物事を測るなら、柊葉だって異常と位置付けられるべき存在で。なら、狂った物差しでしか測れないことになる。
表情を取り繕って、場面に応じて仮面を取り替えて生きてきた柊葉には、今どんな表情をすべきなのか分からなかった。
他人と目を合わせたくなくて、そっと俯く。以前の柊葉には、考えられないことだった。
全員の召喚が終わったのだろう。
揺らめいた空気が、次第に元の張り詰めた形へと戻っていく。
集められた星巫女は、十人。初めて全員が揃った日から、確実にその数を減らしていた。
見慣れた深緑の髪が揺れ、刹那が前に進み出る。
当然のように、まるで初めからそう定められていたかのように、刹那は口を開いた。
「知っていて欲しいことがある」
柊葉の向かい側に佇んでいた叶夜の瞳が、鋭く細められる。
刹那の言葉を、聞き漏らさないようにするように、というよりも。
彼女を、言葉なく糾弾しようとしているようだった。
「山羊座の星巫女が――灯莉が、先日この場所で亡くなっていた」
ただ事実を報告するだけ、といった口調で。
淡々と放たれたのは、そんな言葉だった。
複数の星巫女の、息を飲み込む音。隣の少女がぴくりと身体を震わせた。
「同じ日に星天界に呼ばれていた者がいれば、その時の状況を教えて欲しい」
灯莉は、刹那がいない日に死んだのだろう。
柊葉達よりも先にその事実を知っていたということは、死体を霊安室まで運んだのは彼女なのだろうか。
「あ……」
か細く震えた掠れ声が、静まり返った星天界に響いた。
刹那の視線が、声の主に向けられる。
今にも泣き出しそうな顔をした、水瓶座の星巫女、雪涙。
刹那の視線を受けた彼女は、怯えたように身体を竦ませながらも。それでも、ぽつ、ぽつと言葉を紡いだ。
「わたし、が……灯莉を、見つけました」
たどたどしい言葉で、雪涙が話し始める。
その日、星天界にいたのは、灯莉と雪涙の二人だけだった。
酷い頭痛がしたせいで、雪涙は部屋で休んでいて。
ガラスの割れるような大きな音がしたから、儀式場へ向かったところ。そこに灯莉が倒れていた。
恐怖と悲しみに染まった表情とは裏腹に、淡々と感情を押し殺そうとしたような声で、雪涙は語った。
その言葉は途切れ途切れになったけれど、彼女の瞳から涙が零れることは無かった。
泣かないというよりは、泣けない、というような表情。
話を終えるなり、雪涙は悲しげに俯いた。
この方法が、情報を得る上では確かに最も効率が良いのだろうが。彼女の様子は、見ていて居た堪れなかった。
自分の中の答えと照らし合わせているかのように、刹那は一瞬目を伏せ考えた後。
辛い役目をさせてすまなかった、と謝罪の言葉を口にした。
その顔は、怒りと悲しみに歪んでいるように見えて。柊葉は一瞬息が止まる。
刹那の表情は、鏡に映った柊葉とよく似たものをしていた。
「星天界のガラスが割れていた……つまり、あの黒髪の少女が、星天界を襲撃した、ということだ。灯莉は、彼女に殺されたと考えていいだろう」
咲羽が死んだ日のことが、頭を過る。あの日も、知らない少女が訪れた日だった。
「今までは、彼女の襲撃がある日は星巫女が全員星天界に集められていた。だが……今後は、そうなるとは限らない可能性が高い。少人数で、最悪の場合は一人で、星天界の維持をしなければならなくなるだろう」
彼女から星天界を守ることは、傷付き壊れた星天界を修復することは、それだけ大きな力が必要になる。
神様が星巫女を通してその力を使う時に、星巫女の身体に多大な負荷がかかる。
つまり、今でも酷い症状が、更に悪化する可能性がある、ということだ。
両親の目の前で倒れてしまった日のことが思い起こされ、吐き気が込み上げた。
「何人かには話したことがあったと思うが、私は中央政府の関係者だ」
柊葉の様子になんて目も留めず、刹那はただ淡々と話を進める。
「“星巫女である”という守られた立場を使い、情報を集めてきた。それを、共有しておきたい。星天界を襲う少女の正体と、星天界の仕組みについて」
まずは、結論から話そう。普段よりもやや強張らせた声で、一瞬躊躇うかのように、刹那は口を噤んだ。
すぐにその赤い唇が開かれ、言葉が紡ぎ出される。
「今後の一ヶ月で、更に星巫女を取り巻く状況が悪化する可能性が高い」
星天界から、一切の音が消えた。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
⚡️才能なんてないからここで一生泣いているんだろ
☘️目に映った景色の青さが羨ましく思っていた
⚖路肩に転がる人生アスファルトの温度下がってる
☔️真夜中を照らす灯りを求め
☔️💘つなぐ電波セカイへと
☘☔⚡💘⚖Rainy Rainy
⚡️求めるものだけ描いた
☘☔⚡💘⚖心閉まって待って!
💘本当は叫びたいのよ
☘☔⚡💘⚖Rainy Rainy
⚖強くありたいと願った
☘☔⚡💘⚖声は無情に散って
☔️孤独を奏る
☘️⚖指先から伝わっていく虚しさの色
⚡️『認めてはくれないの?』
☘☔⚡💘⚖燻んでしまったの灰色に
こんな才能なんて借り物
☔️💘まだ人生終わっていないから
諦めんなって誰かの声
☘☔⚡💘⚖見失ってしまったのアイロニー
気付けなくて今も抗ってる
☘️⚡️⚖この感情奪って去ってよ
ドロドロになってしまう前に
☘☔⚡💘⚖wow..
💘私だけみて愛を伝えて
☘☔⚡💘⚖wow..
☘️こんなセカイとバイバイバイバイ
☘☔⚡💘⚖wow..
⚡️滲む想いなぞって描いた
☘☔⚡💘⚖wow..
☔️⚖夢の形に泣いちゃった
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♈︎Aries #星巫女_祈鈴
☘️祈鈴(cv.朔)
https://nana-music.com/users/2793950
♉︎Taurus #星巫女_叶夜
☔️叶夜(cv.碧海)
https://nana-music.com/users/5927253
♌︎Leo #星巫女_柊葉
⚡️柊葉(cv.希咲妃)
https://nana-music.com/users/8069295
♍︎Virgo #星巫女_琉歌
💘琉歌(cv.ゆうひ)
https://nana-music.com/users/8498301
♎︎Libra #星巫女_藍空
⚖藍空(cv.くろ)
https://nana-music.com/users/1544724
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴狼噛様
https://nana-music.com/sounds/05e0bd6f
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
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