第1章 10話
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第1章 10話
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無事に探し人を見つけ出し、森林を抜け、少しひらけたところにやってきた魔法使い一行。落ち着いてきたところでもらった巻物を読もうとしたが気になることが見つかり……
「…ねぇ、誰もいないはずなのに声がするんだけど…」
「本当ですね。行ってみましょうか。」
「こっち…?……あ、あそこだ。
声をかけてみよう。」
「はい。あ、あの…」
「誰?」
「あ……キョンシー、大丈夫だよ。人間だ。」
「人間…なの…?」
「うん。れっきとした人間だよ。」
「よ、よかった……。焦った…。」
「こんなところで、おふたりは何をなさっているのですか…?」
「あー…。それ聞いちゃう…?」
「聞かない方がよかった…?」
「いや、いいよ。いずれ人間にもためになると思うから。
そうだ、名前を言っていない。俺は帆希。見ての通りキョンシー。もう死んじゃってるよ。」
「僕は夏貴。僕もゾンビだからもう死んでるんだよね……。」
「そうなのですか…。
では…何故あなた達はここにいらっしゃるのですか…?」
「簡単に言うと…復讐のためだよ。」
「…復讐…?」
「そう。復讐。吸血鬼に対する復讐だよ。」
「キョンシーは自分の血を吸った吸血鬼を恨んでるから…。
僕はキョンシーに助けてもらった恩があるからキョンシーについていってるだけ…。」
「復讐なんて何も生まないかもしれないけど、それでも俺は復讐する。人の命を奪うようなやつのことなんか許したくない。だから俺は吸血鬼が嫌いなんだ。
俺のことを吸った吸血鬼はこの森林にいることは間違いない。……あのギターの音に間違いはない…。絶対にここだ…。」
「?今なんと……?」
「あっ…、わ、忘れて……。」
「わ、わかりました。
でも……この街に住んでる妖怪達はみんないい人って聞きますよ……?一体なんで…」
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