今宵月の館にて
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今宵月の館にて
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─────ようこそ一夜の退屈凌ぎに─────
気が付くと知らない屋敷の中にいた。
毛足の長いカーペット、派手ではないが腕の良い職人に作られたと素人でも分かる家具、年代物の絵画。大きな窓から外を見ると中庭から多くの人の気配がする。どうやら宴の会場は中庭らしい。
「ふぅん……」
バカラは動揺することなく、屋敷の家具や装飾品を確認する。長生きをすると大抵のことには驚かなくなってしまう。
「時間や場所を飛び越えるなんて自然の摂理に反した魔法、どんな大規模な魔法かと思ったけど……どうやら本当に飛び越えてる訳ではなさそうだ」
バカラが絵を動かそうとすると、額が陽炎のようにゆらりと揺れて元の場所に戻ってしまう。
「言わばこれは夢、いや蜃気楼みたいなものなのかねぇ?それにしてはあまりにハッキリしてるけどね」
「あれぇ、どうしたのぉ?」
背後から突然声がかかり、バカラがゆっくりと振り返ると、そこにはすみれ色の髪をした昏い瞳をした魔女が立っていた。その魔女からはこの場所と同じ魔力が漂っている。この魔女が恐らく招待状の差出人だろう。
「パーティ会場はお庭だよぉ」
「あぁ、それは知ってるけど……アンタは?」
「リュヌはリュヌだよぉ。リュヌ・ブランシュっていうの」
「リュヌ・ブランシュ(白き月)だって?なるほどね、名前の持つ力がこの白き月の夜にあんたに力を与えたってわけだ」
「…………?」
「自分でも分かってないのかい?ならどうしてこんな大がかりな魔法を使ったんだい?」
するとリュヌはこてんと首を傾げ、あっけらかんと答えた。
「……お友達が欲しいんだぁ。だからいっぱいお友達を集めたの」
「はぁ?」
バカラはぽかんと口を開けたあと、弾かれように笑い出す。
「あははは!あんた変わってるねぇ!」
「貴女はお友達になってくれる?」
「さぁ、どうだろうねぇ……それなら私とひと勝負行こうか」
北の国の魔女バカラは美しく妖しく笑う。
「一晩、私を楽しませておくれよ。この宴が私を楽しませてくれるかどうか……ふふふ、アンタは私に勝てるかねェ?」
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「今宵月の館にて」
⏳リュヌ・ブランシュ(cv.はいねこ)
🃏バカラ・ナッツ(cv.uta)
⏳風の音が喧しく 闖入を知らせる
月明かり迷い込む 人の子の気配か
🃏呼び鈴に手をかける 恐れなど知らずに
⏳真鍮の燭台に 蝋燭を立てよう
数えてはいけないよ 壁に並ぶあのシルエット
🃏やけに
⏳ 滑稽な
🃏 くだらない
⏳ 空騒ぎ
🃏それだけに
⏳ しておけば
🃏 引き返せたのに
⏳ ああ馬鹿で
🃏 悪戯な
⏳ 愛らしい
🃏 好奇心
all: 美しき悪夢を召し上がれ
all: 特等席をあげよう
ようこそ一夜の退屈凌ぎに
人ならざる者達と 今宵待つ月の館にて
⏳ 霧の立つ
🃏 森の奥深く
all: 朽ち果てたと言われた月の館
(Trick or Treat)
⏳ 君を招く
all: (Trick or Treat)
🃏 悪魔の棲む
all: (Trick or Treat)
月の館
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☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
珠紀様
https://nana-music.com/sounds/055afba7
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#魔女バカラ #魔女リュヌ
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