アンドロイドガール
🤖エリー
アンドロイドガール
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File3:機械仕掛けの女
自分のラボへ向かう飛行自動車の中で、送られてきたデータを整理しながらアン=ウブカタは重いため息を付く。
「そろそろ潮時かもしれないな……」
「それはツツイグループのお嬢様の健康データですか?」
運転席で車を操作していたサポートロイド(助手型アンドロイド)のエリーが声をかけてくるので顔を向ける。
「うん。病状はあまり良くないねぇ……義体の使用をすすめてるんだけど、金持ち連中は生体至上主義な所があるからなかなかね」
「そうですか」
暗い話題だがエリーの表情に変化はない。アンドロイドには感情はないので当たり前だ。アンが必要ないと判断して感情表現機能もオフにしてあるので、人間を真似て表面だけの感情表現をすることも無い。けれどアンにはそれが心地良かった。
その時、車内に呼び出し音が鳴る。
「コマツ様からホログラム通話が入っておりますが、いかがしますか?」
「エリカから?もちろん出るよ!」
「……かしこまりました」
満面の笑みを浮かべるアンをエリーはじっと見た後、そのまま指を運転席の前に広がるパネルの上を滑らせる。目の前に小さな女性のホログラムが浮き出る。
「……アン?良かった繋がっ……あぁ相変わらずそのサポートロイドを使ってるのね……。貴女って本当によく分からない人ね……」
「エリカ!久しぶり!君から通話をくれて嬉しいよ……ん?そうだよ?」
エリカは通信が繋がった途端エリーの姿を目にして顔を歪める。それもそうだろう。何故ならエリーの顔はエリカに瓜二つなのだ。
「元カノにそっくりなアンドロイドを作って身の回りの世話をさせてるなんて、やっぱり貴女ってちょっとおかしいわよ」
「だってエリカに会えなくて寂しいんだもの。それから私は別れたつもりはないんだけど」
「はぁ……この話はまた長くなるだろうから置いておきましょう」
それよりちゃんと聞いて、と前置きをしてエリカは重々しく口を開いた。
「アイザワ先生が亡くなったわ」
「えっ嘘!」
「貴女じゃあるまいし。こんな悪趣味な嘘はつかないわよ。これから警察も来るみたいだから研究室まで来てくれる?一応、貴女も研究室のメンバーでしょう」
「君の頼みならもちろん」
エリカは無言のまま通信を切ってしまったがアンは気にすることなく上機嫌で行き先を変更するようにエリーに告げる。
「コマツ様……私のオリジナルにお会いになるのですか?」
「んー?そうなると良いなぁ」
「コマツ様と直接お会いになると、コマツ様のマスターへの好感度が下がるのであまりおすすめできませんが」
「……んもぅ!うるさいなぁ!それでも私は会いたいんだよ。私とエリカに関する対人アドバイス機能はキャンセルに設定しておいて」
「……かしこまりました。マスターがそれが良いというのであれば、エリーは満足です」
エリーが従順に答えて、車の行き先を切り替えるのを見るとアンは深く息を吐き、満足そうにシートに身を預ける。
アンドロイドは本当に楽だ。心がないから人間関係に煩わされる事もないし、何でも言う通りにしてくれるのだから……。
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≫lyric
もういっそ“一緒ランド”作りましょ
君とマッチアップ 乗っかって
「構ってもっと 足りないの」
歌え 想い出染みた嫉妬のStyle
代わる代わる傷付けては
「もうしない」って嘘で仲直りごっこだ
勘違いの騙し合い
目を見ればすぐに分かるってバカみたい
“妄想”に好きって言うほど
この愛は腐ってるんだよ
早く気付いてくれよ
アンドロイドガール をかしくなっちゃった
僕だけのものになった君は“誰”なの?
ずっとずっと信じてきたのにな
アンドロイドガール 想いはなんだっけ
君とのキスが痛くて息を閉じたの
ずっとずっと
何度愛を再起動したって
ちょっとだって変われなどしないよ
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≫personal data
🤖エリー(cv.はいねこ)
ウブカタに開発されたエリカと瓜二つのアンドロイド。研究のサポート機能を搭載した高機能の補助用アンドロイド(サポートロイド)。場合によって助言などはするが、基本的にウブカタの言うことを否定せず、命令には必ず従うようプログラムされている。人間の感情を煩わしいと感じるウブカタによって感情表現機能をオフにされているのでいつも無表情。
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■ALTER EGO前編プレイリスト■
前編はこちらからお読み頂けます。
https://nana-music.com/playlists/3675701
■素敵な伴奏ありがとうございます■
DECO*27様
https://nana-music.com/sounds/04c93c37
🆃🅰🅶
#エリー_ALTEREGO
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