アデル
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アデル
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小さい頃から私の周りにはいつも誰かがいて
それは誰にとっても当たり前のことだと
どこかで決めつけていた私がいるんだと思う
独りでいる子には必ず声をかけたし
だから私は
孤独を感じたことがなかった
そう、あの日
私の大好きな兄が"狂愛病"にかかってしまうまでは
恋愛対象者が居なければ発病しない病
そんな兄の恋愛対象者は
"私"だった
兄は私の首に手をかけた
「お兄ちゃんと一緒に眠ろうね」って
幸いにも、私の叫び声を聞いた両親によって
私は助かったんだけど
そのときに知ってしまったんだ
私は本当の家族じゃなかったんだって
"狂愛病"を発症した人がどうなるか知ってる?
病原体が消失するまでコールドスリープするの
治る確率は低くて、兄は今も
コールドスリープ状態のままだ
兄がコールドスリープに入った日から
私の家族はバラバラになった
しょうがないよね
私は両親の本当の子供じゃないんだから
私はアデル
狂愛病に全てを奪われた
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