沖縄に降る雪 (acoustic) ラスト
THE BOOM(宮沢和史)
沖縄に降る雪 (acoustic) ラスト
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アルバム『OKINAWA ワタシノシマ』より。
念のため、このアコースティックverはTHE BOOM名義ではあるけれど、元々は宮沢氏のソロ楽曲。ようやくこの楽曲について語れる。
いつもは楽曲について語るのが最初なんだけど、この楽曲の今回の私の表現企画に関しては初の動画作成サウンドで、 kanakoさんの協力で三部構成になったこともあり最後の歌旅から始めなきゃなぁといつもの順番を逆にした。
この楽曲の初出は、宮沢氏のソロアルバム『MIYAZAWA』。先にTHE BOOMのアルバム『No Control』で発表していた『墓標』へ返す曲として創られたとのこと。
その『墓標』のコンセプトにある【三線×ブラジルリズム】からさらに進んだ【沖縄音階×ブラジルリズム】の楽曲を創作したいと考えていたところ、宮沢氏は映画『ナビィの恋』と出逢う。
ユタに追われて追放された青年サンラーが、60年振りに墓参りの為にブラジルから粟国島に帰ってくる。そして、生き別れたかつての恋人ナビィと再会し、抱き続けていた想いを成就させる。
沖縄・ブラジル・そして沖縄への熱い想い、そんな『ナビィの恋』のテロップが宮沢氏の表現への想いを刺激する。
かつて宮沢氏は『沖』という字を見るだけで沖縄を連想するほどに沖縄に恋をして、いつか両想いになれたらいいなと『島唄』を発表した。そして『島唄』は沖縄で大ヒットし全国的にもミリオンセラーとなる。
しかしながら、当時の宮沢氏の沖縄への想いは、沖縄のもっと奥深い所へ向けられていた。それは、沖縄の伝統芸能、文化そのもの。『島唄』が全国的にヒットしたとはいえその距離は遠く、まだ“お友達”になったに過ぎない…。
というのも、『島唄』の発表にについて、沖縄の民謡界からは反発が相次いだからである。
喜納昌吉、我如古より子など意識が世界に向いているウチナーアーティストや民謡歌手も確かにいたが、 沖縄民謡界の重鎮・知名定男や古謝美佐子などは「伝統ある“島唄”の名をヤマトンチュが軽々しく使うものではない」と遺憾を表明していた。
そんな状況の2001年の宮沢氏はこの楽曲の作詞にあたり、「年柄年中想っているけど、なかなか会いに行けないけど、いつか沖縄に住みたいという気持ちもあるし。本当に60年後になるかもしれないけど、本当に来るよっていう歌にしました。」と述べている。
さらに宮沢氏はこの楽曲について、「純粋に沖縄へのラブソングが初めて書けた」とも述べている。一目惚れした沖縄に「お友達になってください」と『島唄』で申込みした後に、改めて書いた宮沢氏の沖縄へのラブレターだとこの楽曲は言えるのではないだろうか。
また、“沖縄に降る雪”のイメージとはどういうものかと問われ宮沢氏は、「これ以上美しいことはないっていう象徴ですかね。ここに雪が降るんですからね…この世で一番美しいものでしょうね。もしここに雪が降ったら…」と答えている。
もちろん、沖縄に雪は降り積もらないので、「沖縄に降る雪」とは雪を知っている“沖縄の外”からの視点となる。
この視点を『ナビィの恋』の舞台を通してみていくと、「ブラジルで雪を知ったサンラーが、その幻想的な美しい白さにナビィの面影を重ねた」と考えられる。実のところ、南国ブラジルでも南極からの寒波の影響で雪が積もる事はあるらしい。
そう考えると、若き日のナビィがとても色白な美人だったのだなぁ想像できる。雪の降らない沖縄に存在する“雪”、それは奇跡の美しさってことなのでしょうね。
たしかに、『ナビィの恋』の劇中の若きナビィの登場シーンはモノクロではあるけれど、実際のカラー写真での若き日のナビィはナチュラル色白美人である。そういった点も関連付けると、宮沢ファンとしても『ナビィの恋』のファンとしてもなかなか興味深い。
あと、「うるま(サンゴ)に咲く花」ってのも、サンゴ礁を舞泳ぐ熱帯魚のように例えているのかな~と思う。前回のサウンドの動画の名嘉穆稔の琉球美人画の女性も、色白かつ熱帯魚みたいな花に包まれていたし。そこら辺からも宮沢氏はこの楽曲のインスパイヤを受けたのではと考えるのもまた楽しい。
なお、宮沢氏の依頼により本楽曲のソロ名義の方のMVは『ナビィの恋』の中江監督に撮ってもらっている。『ナビィの恋』の映像が使われているだけでなく、宮沢氏が実際にサンラーの衣装の芭蕉布を着て若き日のサンラーを演じている。
中江監督的にあの映画の続編や補完作品のような意味合いも込めているそうなので、『ナビィの恋』が好きな方にオススメしたい。
≪動画について≫🎥
今回の動画こそ、私が動画コラボをしようかと思った最初のもの。 ピアノ伴奏の製作依頼をしたkanakoさんへ、ピアノの音色のイメージ共有として読谷村の漁港の動画に原曲サウンドを付けて送ったのでした。
当時は、音作りやキャプ書きにただでさえ時間のかかる私のnana活に動画編集まで入れたらもっと大変なことになると腰が引けていたけど、kanakoさんのピアノが本当に素晴らしくて「ここまでやってくれたら俺もやるぞ❗」とそれに応えたいと思ったのが動画コラボ着手の動機。
当初はモノクロ動画に上から雪を降らすだけにしようとしていたけれど、24年振りのスーパームーン皆既月食の日に沖縄でサンゴの大産卵があったというニュースを聞いて、「これだ!」と創作イメージが決定した。
この沖縄のサンゴの大産卵は、“沖縄の雪”とも呼ばれている。その写真や動画を拝見すると、大量のサンゴの卵が海の中をゆらりゆらりと下から上へ昇っていた。「なるほど、“沖縄に降る雪”とは本物の雪とは逆なのか❗」と動画を逆さまにして編集開始。
そして出来上がったものを再度逆さまにすると、雪が海から空へ昇る様はまさにサンゴの大産卵。これのモノクロとカラーを作成しMIX。動画速度を75%にしたら曲調とも合ってなおGOOD❗。でも、nanaにアップする時にカラーノイズが入るのはちょっと残念。
ちなみに、今回の動画をモノクロにしたのは、この楽曲の意識が最初と最後が現実で中間は夢想や回想であると捉え、私の先2作を鮮やかな夢想として今作は灰色の現実として表現したかったからである。
でも、最後の最後にカラーにしたのは、その現実に希望を残したかったからで、それは私なりの『ナビィの恋』へと続く物語の表現にした。
ちなみに、最後に海面を映して終わるのは、原曲のピアノの音色が海面の瞬きのように感じていたから。当初はサンラーが海に沈んで、海の中から太陽を見上げるようなイメージだったけど、そんなの撮れねーしw
まぁでも、たまたま偶然にワンショットでこのラスト部分のイメージに合う動画が撮れてて良かったなぁと感慨深い。
≪伴奏について≫🎸🔔
最初はこのラスト部分もアカペラ・三線でやろうかと思ったけど、せっかくなんでkanakoさんに依頼。実に素晴らしいサウンドが仕上がったので、いざ三線重ね。
ちょうどnanaのステレオ再アプデがあって、音質調整にすごく苦労した。結局の所、スマホ直録がちょうど良い?。ペンペン音が強いけど、及第点の三線の音色にはなったかな。歌入れ後にまた三線を重ねた。
三線まで入れて動画を作成した後で、ここまでやったんならあの風鈴みたいな音も表現してみたいなぁと思いだす。しかしまたここからがまた長く、あの音を探して1週間くらい街をウロウロする。
ガラスの風鈴ではあの響きは出ない。鉄の風鈴が近いかと思うがそんな簡単に見つからない。ならばと、やちむん(沖縄の焼物)の風鈴を探すが、見つけたシーサーの頭状の鈴は音がコロコロして違う。
なんかないかと平和通りを散策していると、ふとあの「リーン」という音が耳に入る。その店の前でしばらく立ち尽くすと、あった❗南国風のウィンドチャイムだ❗。即購入。
鈴音をマイクスタンドに吊り下げて録音開始。鳴らしたいチャイム以外は全部テープで本体に固定。そんで、木琴用のスティックで真ん中を叩く。「リーン」と鳴るように調整してるが、これまたnanaがその響きを拾わない。なもんで、ChipやRaidoのエフェクトを使用してみた。これら使うと音程が変わったり、音が伸びたりした。入れ具合は出来るだけ原曲準拠で。
最後に、一音だけ抜けて三線を後乗せ追加して完成。
≪歌入れについて≫🎤
ステレオ再アプデの一発目のテスト歌唱をそのまま採用。これまで歌ってきた蓄積がそのまま表現できたかなぁととりあえず一発OK。まぁ歌マネの範疇とはいえポイントは丁寧に。「ウチナー」を「ウチんナァァァー」と歌うとこは良く出来た。
しかしながら、ホワイトノイズがとっても気になる。 なので、最後にホワイトノイズのバランス調整で前後に無音コラボ。全体的にホワイトノイズになったけど、モノクロメインの動画だから今回に限ってはOKで納得。
素敵な伴奏にて歌わせて頂きましたkanakoさん、ありがとうございます。
私のほんの思い付きによくぞ付き合ってくれました。大感謝です。コロナ禍で旅行が厳しい時だからこその“表現する沖縄旅行”になってくれていれば嬉しいです。
≪最後に≫🌈🏝️🌺❄️
このキャプ書きにあたり“沖縄に降る雪”についての資料を集めていた際に、とある方のブログに出逢い、かつて沖縄のエッセイストが沖縄の本土復帰を「沖縄に雪が降る」と例えて述べていたという情報を得た。
私自身それまですっかり忘れていたけど、私もそう書かれた別の本を所持していた。なのに、つい先日に売却してしまったのであった。
慌ててその本を売却した店に向かうが、生憎その本のタイトルも表紙も失念してなかなか見つけられない。そのブログの方が言っていた本は見つけたけど、これじゃないんだよな~。面白いけどね。
『沖縄の害虫』という本まで買ってしまうほどに沖縄病に罹ってしまった宮沢氏なら、きっとこの本を読んでこの楽曲の創作のインスパイヤにしたに違いないと思って発行年月日の確認までしてたなぁ。また探そう。
あと一応、沖縄でみぞれくらいは降ったことがある。近いのだと2016年に沖縄でみぞれが発生。しかしあれは、「みぞれが降る」なんてもんじゃなく猛吹雪、みぞれ台風だった。
ちょうどその時、私は海沿いに居た。強烈な海風により猛スピードで身体にぶち当たるみぞれ。 逃げるように乗り込んだ車にもバチバチ当たる。 駐車場には悲鳴が飛び交う。それで極端に身体を冷やした私は、ここぞとばかりにウチナー温泉に入って一息ついたものだった。
県内のディスカウントストアの暖房器具コーナーは急にスカスカ。ユニクロのヒートテックコーナーにオジーもオバーも殺到して大パニック。 沖縄にみぞれが降るなんて、もう二度と御免だね。
ちなみにここ最近、沖縄ぜんざい食べ歩きという個人企画をやっていたけど、本楽曲の最終アップをもって終了する。この楽曲にかこつけて、甘々ヒンヤリの“沖縄に降る雪”を堪能して大満足。ご馳走様でした。
※トップ画像は、ウィンドチャイムを買った沖縄土産屋さん。『沖縄に降る雪』のイメージに合う飾りが沢山あったなぁ。
#宮沢和史 #THEBOOM #沖縄に降る雪 #ナビィの恋 #沖縄に恋した宮沢和史祭り
Comment
6commnets
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- kanakoもうほんと色々とありがとう✨ この曲を弾くにあたり、イメージ作りを的確なご指導で手伝ってもらったり、色んな方向から沢山勉強させてもらったり、情報提供していただいたり。本当に旅をしているような気持ちに何度もなれました。 ピアノを弾いてて一番楽しいことって結局そこだったのだけど(どこにいても、違う世界へとべる)忘れてしまっていたような気がして。 この曲にとりかかることで少しずつ思い出させていただき、本当に感謝です。 誰が何と言おうと…のご姿勢。 誰にも何にも媚びずに自分を貫き通す表現活動の在り方も宮沢氏だ〜 尊敬ですよ〜😊✨✨
- きゅらஐ୧さ沖縄に降る雪というタイトルを見て 真っ先に浮かんだのは 珊瑚の産卵でした 流石ニヤさん*୨୧*˚·
- エリス羽衣いつもものすごい熱量のサウンドと動画(映像)とキャプションに驚嘆しています😊 文字を追うと動画が観られず、動画観てるといつまで経ってもキャプションの最後までたどり着けない🤣🤣🤣 こんなに愛せる音楽に出会っているなんて、すごいな💕💕