新学期の前日、悪夢を見た。
いつものように夢の中で多々薇さんとお話をしていたら、後ろから誰かがわたしのことを攫って行く夢。
多々薇さんから引き剥がされた悲しみもあったんだけど、……だけど…。
あの人、誰……?
わたしの夢の世界には、わたしと多々薇さんしかいないはず。
攫われた後、多々薇さんがすぐに駆けつけてくれて助けてくれたんだけど…。
夢の中での多々薇さんの目は、いつもの目ではなかったのも覚えてる。
なんだか、どこか怖がっているような、申し訳ないような目をしていた。
そして、あのわたしを攫ってきた人の
「逃がさないよ?」
……目覚めたあとも、ちゃんと覚えていた。
その日の朝は、生まれて初めて恐怖に包まれながら目を覚ました。
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