【声劇】妖よりも恐ろしきや
読み手: 台本:エグゼクティブソーダ
【声劇】妖よりも恐ろしきや
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「此度も見事な腕前でございましたな」
『なに、我が陰陽術の前では児戯に等しき戯れよ』
「何をおっしゃられるやら
あの手腕が児戯ともなれば、
他の陰陽師やら武士やらの顔が立ちますまいよ」
『未熟な妖力で暴れまわる妖どもの相手ほど容易いものはない』
「…あの妖どもよりも手に余るものがおると?」
『…ああ、その通りだ
これを見てくれ』
「これは…文ですかな」
『ああ…その手習いを見よ
なんと美しいことか…』
「たしかに…これほど美しき文字はなかなか…」
『黒髪の 乱れもしらず うちふせば まづかきやりし 人ぞ恋しき…』
「この歌…もしや…!」
『ああ…文の主は和泉式部
そして歌をもらったからには返歌をせねばならん』
「まさかかの有名な和泉式部から文が届くとは
人ならざるものと戦う我らの存在をどのように知ったのか…」
『あれほどの美しさだ…我らのことを漏らす者もいたのだろう
無視するわけにもいかん…
この内容だ、我の沽券に関わる』
「なんとも…稀代の陰陽師が手を焼くのが一枚の文とは…」
『女とはかくも恐ろしき者よな』
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#炭酸水の台本 #台本
Comment
1commnets
- 丸野三太郎素敵な台本、コラボ失礼いたします。