声劇 「中毒性に満ちた、情」
るあ 台本:稀
声劇 「中毒性に満ちた、情」
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テーマ「狂気」 舞台:中華
視界の端で、美しい紅ランタンが微かに揺れる。
風が、鈴の付いた耳飾りをちりん、と鳴らすのが耳奥で響く。
「こちらに、おいで」
甘い声が、脳髄に反響する。
じわじわと、麻痺していく感覚になりながら、
手招きをする彼の元へと足を進めた。
「美しいね、/// お前は」
彼が喋る度に、ごくり、と固唾を呑んでしまう。
恐怖で身体は支配され、追い詰められている。
委縮した身体を彼に抱き留められながら、
震える手を力強く握った。
「宝石のように輝く眸を抉れば、お前の世界は僕で終わり。
(僕で終わり。僕で終わる。)
それって、とっても愛おしいと思わない?
美しいお前を独り占めしたい。///
僕の気持ちを知っている癖に、/狡いなぁ」(呆れて)
恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべて、
私の頬をゆっくりとなぞる。
それが、まるでお前は僕の物だとはっきりと示しているようで、
ぞっと背中に恐怖が走った。
「早く、僕のところに堕ちてきてよ…」()
弱々しく、切なげに言葉を零す。
その割には、噛みつくような、接吻が落ちて来た。
深くなっていくそれは、'どろどろに思考を鈍らせていくんじゃないか'って受ける度(たび)に、恐怖心に襲われるのだ。
━ ━ ━依存と執着が、せめぎ合い、
綺麗さなんて微塵もない関係に彼は溺れている。
そして、私も同様なのかもしれない。
fin.
[BGM] Sad/悲しい/bgm/hiphop (190722)
#声劇 #狂気 #中華風 #依存 #執着 #bgm #稀本
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