空蝉と私
朗読:由季 台本:彗/sui様 伴奏:Mieco【みぃこ】様
空蝉と私
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彗さんに『死別』をテーマに台本を書いていただきました。
やはり、『死』というものは人を惹きつけますね…(…私だけか)
残酷なほど美しく、繊細な世界観に胸が締め付けられる。生きているからこその喪失感といいますか、大切な存在を失ったことに対する後悔や痛みを少しでも感じて頂ければ幸いです。
―――
“ごめんなさい。弱くて、ごめんなさい。君は僕の代わりに──。”
便箋に書かれた文字は、酷く丁寧だった。
念入りに準備されていたんだと、すぐに分かった。
貴方の声が再生される。
まるでお経のように、頭を廻り続ける。
煩い、煩い、煩い。
頭は煩くて一杯なのに、胸の中は何も無い。
もし内臓が全部抜かれてしまったら、
こんな感じなのかもしれない、なんて。
蝉の抜け殻が、アスファルトに転がっていた。
私みたいなのに。なのに綺麗なままだった。
何だか、許せなかった。
そのまま、蝉の抜け殻を踏んづける。
バラバラになった。
でも音はしなかった。悲鳴は聞こえなかった。
結局、全部貴方に掻き消されてしまった。
バラバラになった抜け殻には、何も感じなかった。
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