Page 1 少年Aの独白
朗読:由季 台本:Roseria memory様 伴奏:Riro様
Page 1 少年Aの独白
- 22
- 2
- 0
最初からおかしかったんです。
ずっと、他人事のような人生でした。
何もしない自分という個体に腹をたて、何かをしては失敗する自分らしき個体に腹をたて、また何もしなくなって、動かなくなったその個体を自分と認識するのをやめました。
違うことを考えながら手が動く、考えていることと違う動きをしてしまう。誰しもあることでしょうが、僕にはそれが、ひどく自身の意識とかけ離れているようで、とにかく気持ち悪かったのです。
恥の多い生涯と綴った某文豪も驚くほど、僕の人生は恥辱と後悔に塗れ、そして何もありませんでした。矛盾を孕んだ人生は、とうの昔と形容するところから続いてきていました。
既に過去のことのように綴っていますが、現実は進行形のまま、完了形になることを知らないかのように僕を置き去りにし、また、尻を叩いて追い込んでいくのです。
ここから逃げたいは通用しません。
もう疲れたは聞き取ってもらえません。
僕たちは、きっと、どこかで、間違えたのでしょう。
それは、何度話しても「そういうものだ」と流され続けて人に話すことを諦めた少年の独白
#雨ざらしの蒙啓録 #声劇
Comment
No Comments Yet.