【ホラー台本】過ぎ行くは贄と桜を取り巻く世界
BGM : 叢雲 演者 :
【ホラー台本】過ぎ行くは贄と桜を取り巻く世界
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コラボの際は拍手かコメかくだちい…
伴奏にも
桜をテーマにしたのだが、俺には明るい台本は書けないようだ。
以下読み⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎
苑地 = えんち
刻膳 = こくぜん
妖艶 = ようえん
刺繍 = ししゅう
行灯袴 = あんどんばかま
纏い = まとい
艶やか = あでやか
啜った = すすった
趣いた = おもむいた
変貌を遂げる = へんぼう を とげる
贄 = にえ
妖 = あやかし
以下台本━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
彼の村にある山道奥の苑地。
そこには、通称"刻膳"と呼ばれる桜の木があった。
満開の桜の下、まだ幼かった彼と遊んでくれたその女性は、とても妖艶な人だったそうだ。
彼は10年経った今でもはっきりと憶えていた。
黒い生地に赤と金の刺繍が入った行灯袴を纏い、艶やかでありながらも生き血を啜ったかのような赤黒い唇。
そして彼は10年ぶりに苑地へと趣いたのだが、誰も立ち入っていないはずなのに、視界に広がるのはあの頃と何も変わらない景色だった。
昔を思い出しながら、彼は願った。
「もう一度あの人に会いたい。」と。
満開の桜...。
息を呑む程の美しさに酔いしれながら、目を閉じて深呼吸をした。
再び目を開くと、視界が遮られる程の桜吹雪が舞っていた。
やがて風は止み、桜の木に視線を戻すと、そこにはこちらに手招きをする女性が立っていた。
行灯袴に艶やかな唇...あの人も桜の木のように変わらないままだったんだ。
吸い込まれるように桜の木の下に誘(いざな)われた彼は、10年前の姿へと変貌を遂げていた。
贄となった人間の10年分の魂を喰らう桜の妖を、人々は"刻膳"と呼んだのであった。
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