猫

DISH// あいみょん

第2話　夕焼け空の下で オレンジ色に燃えた西の空が傷心の僕を吸い込んでしまいそうだ。 一瞬のできごとだった。どうすればいいか、分からなくなった。 「タクミはいつもそうじゃん。私の話に合わせてばっかりで、自分の話は全然してくれない。ほんとは私のこと嫌いなんでしょ。」 「そんなつもりじゃ・・・。」 雲が風のせいで細くちぎれていくように、その日はそれで別れた。 正直、面倒くさいと思った。 このまま別れてしまおうかとも。 手放せば、これほど楽なことはなくて、 たまに感じるわずらわしさも、超がつくほど心配性な性格も、 笑う時、鼻にシワが寄るとこも、駅の階段降りるとき、腕を掴んでくるとこも、 返信めっちゃ早いとこも、指が細くてきれいなとこも、 意外と不器用なとこも、 「好き」とか「尊敬してる」とか小っ恥ずかしいこと平気で言ってくるとこも 全部、見れなくなるだけなんだ。 僕たちは触れたら壊れてしまいそうなガラス玉だ。 少しづつ、少しづつ大切に磨き、 言葉を交わし、 時間をかけて、 育ててきた。 しかしそれに今、ヒビが入った。 元に戻すこともできる。 2人なら。 また少しづつ、少しづつ大切に磨き、 言葉を交わし、 時間をかけて、 修復していけばいい。 僕は、2人の気持ちや時間や思い出や言葉が入ったガラス玉を 床に落とすことはできなかった。 そう気づいた時にはミハルに電話をかけていた。 もう一度、ミハルと時間を分け合いたい。 もう一度、ミハルと言葉を紡ぎたい。 もう一度、ミハルと体を重ねたい。 わがままな僕を許してほしい。 ダメなとこ全部直すから。 ミハルの気持ちちゃんと受け入れるから。 僕のことも頑張って話せるようになるから。 だから、お願いだよ。 矛盾ばっかで、むちゃくちゃなのはわかってるけど、 もう一回、僕を許してほしい。 細くちぎれた雲々は、いつの間にかつながって、 山の向こうへ消えていった。 #猫 #DISH #あいみょん #MUGi #画像のみコラボ禁止 #nana紅白2020 #yasuギター