ドラマツルギー
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
ドラマツルギー
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__𝕎𝕙𝕒𝕥 𝕪𝕠𝕦 𝕤𝕖𝕖 𝕚𝕟 𝕥𝕙𝕒𝕥 𝕖𝕪𝕖.✩₊*˚
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柊葉が星天界に辿り着くと。そこには既に、退屈そうな顔をした少女が星空の下で佇んでいた。
彼女の顔には、見覚えがあった。星巫女になったと告げられた日、集められた少女達を仕切っていた少女――刹那だ。退屈そうな、不機嫌そうな表情を浮かべている。
彼女の噂は、星巫女になる前から聞いたことがあった。――正確に言えば、刹那の噂というより刹那の両親の噂、なのだけれど。
彼女は、異例の若さで出世を重ねている優秀な父と、不祥事を起こして失職した母を持つという。不正を嫌う彼女の父親について、柊葉の父が苛立たしげに話していたのを覚えている。
彼の邪魔をした人物は、誰であれ消される、なんて話も聞いていた。だから表立って反発は出来ないのだろう。同じような苛立ちを覚えている人間はかなり多いらしい。彼の妻も、何らかの不正を働いていたのが発覚して失職したのだろうか。
柊葉には分からないが、そう考えるのが最も真実に近いような気がした。
そんな彼の娘である刹那が、優秀でないわけがなく。彼女とここで会った機会は数えるほどしかなかったが、それでもその頭脳明晰さは充分に分かった。
刹那はいつだって集団の中心にいる。刹那を中心に、物事が動いている。そうなるように彼女自身が仕向けている。周囲がそのことに気付かないように。
他人を利用する側かされる側かで言えば、明らかに前者に属するだろう。
常に不敵な薄ら笑いを浮かべ、自分がすることが常に正しいのだと言わんばかりの言動を取っている。柊葉には、絶対に真似出来ない生き方だ。
そして。数日間彼女を観察して、柊葉の中にある考えが浮かんでいた。
刹那の父を邪魔するものが失脚していくのは、果たして本当に彼の仕組んだことなのか?と。
刹那の父ではなく、刹那自身が中央政府を操っているのではないか?と。
以前の柊葉なら、有り得ないと一笑に付しただろう。だが、刹那の聡明さを目の当たりにして。有り得るのではないか、その可能性の方が高いのではないか、と感じるようになったのである。
彼女の言動には、どこか冷酷さを感じる。他の星巫女への情報統制の手段と言い、何があっても動揺することのないその表情と言い。 刹那はいつも、笑顔を浮かべている、というよりは笑顔で覆い隠している、という方が近いだろう表情をしている。
だからといって、柊葉のように「期待に応えるため」だけに常に作り笑いを浮かべているわけではないのだろうけれど。彼女の笑みは、自分で自分の進む道を切り開けるものの笑みだ。
柊葉の推測がただの想像なのか、それとも真実なのかは分からない。だけど、家のためにも――家のことを第一に考え行動するのは柊葉の義務だ――刹那に嫌われるわけにはいかなかった。どちらにせよ、彼女が中央政府内で大きな影響力を持っていることは事実なのだから。
こんなことをいつだって考えている自分が、嫌でたまらない。愛想笑いを浮かべて、媚び諂って。「自分」という存在を捨てた人間の末路がこれだ。もはや自嘲さえ生まれない。
それでも義務感には抗えず、柊葉は言葉を発した。
「……刹那さん、でしたよね」
なるべく人好きのするような笑顔を意識して表情筋を動かす。
冷めた薄い紫の瞳が射竦めるように柊葉を見た。
「……何の用だ」
放たれた言葉は刺すように冷たかった。仮面を貼り付けたまま、言葉を繋ぐ。
本音なんて少しも含まれない、上辺だけの言葉を。
「いえ。こうして二人で此処に呼び出されたのは初めてだな、と思いまして。何度か父から話を聞いたことはあったのですが」
すっと瞳が細められる。咎めるような視線が向けられた。
「その作り笑いは何の為だ」
呼吸が止まったかのように感じた。気付かれた?柊葉が表情を取り繕っていることに?
衝撃だった。初めて言葉を交わした日に、覆い隠してきた感情が見つけられそうになるなんて。
――否。心のどこかでは、確かな予感があった。確信めいた予感が。
きっと彼女に、柊葉の作り笑いを否定されると。
「作り笑い、ですか」
それでも、柊葉は笑顔の仮面を外そうとしなかった。外せなかったのかもしれない。これは、柊葉が自分を守る手段だった。
気付きかけたことに蓋をして、何も気付いていないふりをして。
白々しくもそんな台詞を吐いてみせた。
そんな柊葉を不快気に睨みつけた刹那は、吐き捨てるように短い言葉を紡ぎだした。
「気持ち悪い」
刺々しい声だった。
それきり彼女は口を閉ざし、こちらをちらりとも見ようとしなかった。
心の底が急速に冷えていくような感覚。柊葉はただ、抗うことを諦めた義務感に従っただけなのに――いや、抗うことを諦めたから、だろうか。
常に薄く笑んでいた彼女にしては珍しく、柊葉への嫌悪感を露わにしていた。
今まで生きてきて、そんなことは初めてだった。取り繕った柊葉を見ては褒め称える人間ばかりと接していた。不快だった。母が求める柊葉だけを肯定されることが。自分でも自分に嫌気がさしていた。気持ち悪くて仕方がなかった。
まさか、ほとんど話したこともない相手に、幾重にも被った仮面を看破されるなんて思ってもいなかったけれど。
一言だけを吐き捨て、柊葉を視界に入れようともしない刹那を呆然と眺めた。
煌めく星々に照らされて、凛と立っている刹那はただ、綺麗だった。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
⚡頭でわかっては嘆いた
⚜️転がってく様子を嗤った
⚡寂しいとか愛とかわかんない
⚜️人間の形は投げだしたんだ
⚡抱えきれない 言葉だらけの存在証明を
⚜️この小さな劇場から出らんない
⚡気づいたら最後逃げ出したい
⚜️僕ら全員演じていたんだ
⚡エンドロールに向かってゆくんだ さあ
⚜️皆必死に役を演じて
傍観者なんていないのさ
⚡"ワタシ"なんてないの
⚜️どこにだって居ないよ
⚡ずっと僕は 何者にもなれないで
⚡⚜️僕ら今 さあさあ 喰らいあって
延長戦 サレンダーして
メーデー 淡い愛想
垂れ流し 言の愛憎
⚜️ドラマチックな展開をどっか期待してんだろう
⚡⚜️君も YES YES 息を呑んで
采配は そこにあんだ
ヘッドショット 騒ぐ想いも
その心 撃ち抜いて さあ
まだ見ぬ糸を引いて 黒幕のお出ましさ
⚡その目に映るのは
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♌︎Leo #星巫女_柊葉
⚡️柊葉(cv.希咲妃)
https://nana-music.com/users/8069295
♐︎Sagittarius #星巫女_刹那
⚜️刹那(cv.酢飯いくら)
https://nana-music.com/users/8640965
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴まめぐさり様
https://nana-music.com/sounds/03d55b01
✯𝕚𝕝𝕝𝕦𝕤𝕥𝕣𝕒𝕥𝕚𝕠𝕟✯
月瀬ひるく様 @Tsukise_hiru
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
#ドラマツルギー #Eve #初音ミク #ピアノ #ドラム #まめ伴奏
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