捨て子のステラ
⚖️Libra 藍空
捨て子のステラ
- 235
- 30
- 0
__三回光る前に 僕を見付け出して
₊*̥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎₊*˚
この世界には、雪を綺麗だと感じる人間がいるらしい。
大変幸せな人だなあと感じる。恵まれているから。何もしなくても生きていられるからそんなことを言えるのだろう
藍空は、雪が嫌いだ。雪が降るような寒い日はろくなことがない。
施設にいなければ───施設にいてさえも、幼い子供に死をもたらすのが雪という天気だ。
それを何の躊躇いもなく純粋に綺麗だと思える人間は、世界で確かに起きている不幸を知らずに笑っていられる人間は、本当におめでたいな、と思う。
───かつては藍空も、そんな風に思っていたのだろうけれど。
藍空の生まれは施設の周辺ではなく、中央政府(セントラル)から少しはずれたごく普通の家庭だった。
両親と三人で、何も知ることなく、ただただ幸せに暮らしていた
確証はないけれど、きっと笑っていたのだと思う。毎日が楽しくて、世界が輝きに満ちていて。この世界のことが、大好きだったのだろう。
「生きるために必死に足掻く」なんて考えを、微塵も持ったことがなかったのだろう。
そんな幼い藍空は、ある日呆気なく地獄に突き落とされた。
ちょうど今頃の、雪が降る日だったと思う。朝、いつものように目を覚ますと、そこには何も無かった。
誰もいなかった。
戸惑い、不安に思い、怖がり。泣きながら両親を呼ぶも、答える声は無く。
残されていたのはただ、母がいつも付けていた小さなバレッタだけ。
それ以外は、何も───まるで、元々この家には藍空しかいなかったかのように───残っていなかった。
ほどなくして、藍空の家に、複数人の大人が訪れ、藍空は捨てられたのだ、と告げた。
信じられなかった。自分に起こっていることなのに、映画かテレビを見ているかのようだった。
捨て、られた……?
視界が真っ黒になってしまったかのようだった。捨てられた?どういうことだ?どうしてだ?藍空は、両親に愛されていたのではないのか。昔の両親の言葉は、全て嘘だったというのか。
何かの冗談だと思いたかった。悪い夢だと信じたかった。驚きと衝撃が強すぎて涙すらも出なかった。
大人達に連れてこられたのは、ある施設だった。両親のいない子供や捨てられた子供───今の藍空と同じ境遇の子供達が集められた、孤児院のような場所。
「孤児院」と世間からは言われているらしいが、実態はただの労働施設だった。過酷な環境下で、それでも藍空は信じ続けようとした。
捨てられただなんて何かの間違いで、両親はきっと藍空のことを迎えに来てくれると。
だけど。ろくな食事も睡眠の時間も与えられず、ひたすら与えられた仕事をこなすだけの日々が数週間続いて6歳だった藍空には、とても耐えられなくて。
ある日、ぷっつりと、糸が切れたかのように。信じることを止めてしまった。
何も、信じられなくなってしまった。
世界は藍空が信じていたような綺麗なものではない。信じるに値するものではない。
それならば、藍空は何も信じずに、世界を嫌って生きよう。綺麗事を捨てて生きよう。そうやって、心を閉ざして生きると決めた日から、藍空は何も信じることなく生きている。
ある雪の降る日。事故が起きたとかで急に仕事が休みになった。藍空は、にらむようにして窓から見える雪を見つめていた。
昔のことを思い出す、なんていう感傷的な理由で雪を嫌っているわけではないが、雪を見ていたくないのは事実だった。
だけど、仕事がない日は本当に何もすることが無くて───逃亡手段を封じるためかは知らないが、ほとんど何も与えられていないので当然だった───ただ、窓を眺めていた。
ふと、誰かに名前を呼ばれた気がして振り返る。周りには誰もいない。
自嘲が漏れた。此処では藍空を名前で呼ぶ人なんていないのに。
小さく嘆息し、それと同時に藍空の身体が宙に浮いた。
暗転。真っ暗な何も見えない世界。視界がすぐに開ける。
藍空の目の前には、満点の星空が広がっていた。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
₊*̥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎₊*˚
✯ℂ𝕒𝕤𝕥 𝕄𝕖𝕤𝕤𝕒𝕘𝕖✯
藍空役を担当させて頂きます、くろと申します。
素敵な企画に1キャストとして参加させて頂ける事を嬉しく思います!
藍空は信頼を失っています。
だけど本来の眠っている優しさを捨てられない。
そんな彼女に寄り添い、一緒に成長出来ればと思います。
藍空を含めた星巫女に選ばれた女の子達が紡ぐ物語を1ファンとしても楽しませて頂きますのでよろしくお願いします〜!
₊*̥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎₊*˚
✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
これっぽっちの天体に7.00*10^9分くらいの命を捨てて逃げる
一つ分の明かりで暮らせだなんて都合良い利己主義的な話だ
青を黒で塗りたくった 画家の絵皿みたいだ
恒星 天文 創造 天動説 相対論
結局僕等はなんなんだ
ガラクタの望遠鏡で僕を映して 遠い星を覗いている
暗くて 不細工で 相俟って他愛なくて
頬を伝う流星群をそっと落として 理神論を恨んでいる
手合せて 願って 三回光る前に 僕を見付け出して
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♎︎Libra #星巫女_藍空
⚖藍空(cv.くろ)
https://nana-music.com/users/1544724
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴ハロ🌙様
https://nana-music.com/sounds/01d778c1
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
Comment
No Comments Yet.