【第1話】街道にて
脚本:天渡 ジャントール: きゃなりエレオノール: 天渡 グラジニオ:4210
【第1話】街道にて
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#メルスト寸劇部
禁止事項
無断転載 内容改編行為
旅路は想定していたよりも困難が多かった。
まずはエレオノールがあまり活動することが出来ない。これは想定の範囲内だった。
ジャントールは主に乗合馬車を利用しようと思っていたのだが、その馬車が来るタイミングが掴めない。
そんなに長い距離ではないけれども何日もかけて行き来するものだから、いつ来るか分からず、待っていられるものでもない。
タイミング良く乗れる時もあれば、行ったばかりで次に来るのは何日か後ということもあった。
いまが正にそう。しかも1週間ほど後だという。
ジャントールはどうしようかと悩んだ。
しかしエレオノールは
「急ぐ旅ではないのだから、ゆっくり行きましょう?...でも、なんだか調子がいいみたい。少しずつ歩いていってみませんか?」
笑顔で言うものだから、ジャントールはその提案を受け入れることしか出来なかった。
実際ここ2、3日のエレオノールは体調が良さそうだった。
しかし次の街までは徒歩で5日の距離。
途中で馬車が通りかかれば良いが、エレオノールのことを考えると7日はかかるだろう。
一抹の不安を覚えたものの、2人でゆっくり進むことにした。
3日経ったが、歩みは順調だった。
馬車を主体にしていたせいか、徒歩で周りを見渡すエレオノールの瞳はキラキラとして、目に映る全ての物を楽しんでいた。
それを見てジャントールの心は和む。
しかし。
毎日続く野営の疲労が確実に蓄積し、ジャントールを追い込んでいた。
慣れない野営、夜の見張り、睡眠不足。
夜の見張りをエレオノールの任せるわけにはいかない。
でも、昨夜で既に睡魔に負けて少し眠ってしまった。
慌てて目が覚めた時には、焚き火の日が消えそうで、慌てて枝をくべた。
だいぶ歩は進み、距離としてはあと半分。
順調だ。
でも、あと3日。自分の体は持つのだろうか...不安が増してきたそのとき。
「おや、旅の人かい?こんなところで誰かに会うだなんて」
1人の旅人に出会った。
のんびりとした雰囲気だけれども、しっかりと装備は整っており、旅慣れしている。という感じだった。
「えぇ、ふふ...こんなところでどなたかにお会いするとは思いませんでした。どちらまで行かれるのです?」
「あっちの街までだよ。お2人さんも?」
「そうです」
「ふーん...」
男はなんだか2人をじろじろと見て、そしてにこっと笑った。
「一緒に行くかい?」
「えっ...?」
「ちょうどそろそろ1人は寂しいと思ってたしなぁ、まあ、ボクは旅慣れしてるし、よかったら一緒に行こう。安心しな、よくなりゆきで少し一緒に旅したりしてるんだ...そっちの人は疲れてそうだし」
ニカッと笑っていう。
信用にあたる人間なのかはさておき、願ってもない申し出だったので一緒に行くことにした。
その夜は「ボクは慣れてるからね、君は休みなよ」と言ってくれたので、ジャントールは久々に深い眠りにつくことが出来た。
次の日からはジャントールと旅人で途中で交代しながら野営をした。
そしてエレオノールは残り3日の距離を、徐々に疲労の色を増しながらもどうにか歩いて見せた。
馬車は通りかからず、一昨日村へと戻る馬車とすれ違ったので、自分たちが乗るよりも歩いた方が早く街へ着く。
「...大きい...」
ここらで1番大きな街が視界へと入ってきた。
心無しか胸が踊る。
街への門を抜けると、たくさんのお店が軒を連ね、祭事でもあるのだろうかと思うほどの人の往来で街全体がざわめきたっていた。
2人が住んでいた街とは全く違う光景に驚きを隠せず、でも心ではここでどんなことがあるのか、とわくわくしていた。
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ここから録音
※タイムレコード表記
該当秒数が喋りだし
頭出しタイミング
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グラジニオ「さぁて、ボクはここでお別れだ」1:27
ジャントール「グラジニオさん、なんとお礼を言えばいいのか…本当に助かりました。心ばかりですが、これは感謝の気持ちです。」1:24
エレオノール「道中はお世話になりっぱなしで、本当にありがとうございました。ご迷惑もおかけしたと思いますし、どうか受け取って下さい」1:15
グラジニオ「やれやれ、そうまで言われたら受け取るしかないねぇ。ふたりの感謝の気持ち頂くとするよ。袖すりあうも他生の縁、旅の出会いも悪くないしねぇ。ただ、体の悪い奥さんには辛いことも多そうだ。旦那さんが大事にしなきゃねぇ」1:05
ジャントール「お、奥さん??」0:46
エレオノール「だ、旦那さん??」0:44
グラジニオ「おやおや、最後までご馳走さまだねぇ。それじゃ、ボクは行くよ。旅の無事を祈ってるから」0:41
ジャントール「あ、ありがとうございました…!お気を付けて!」0:33
エレオノール(まぁ、グラジニオさんたら、私達そんな風に見えるのかしら)※ここの独白はジャントールに被せ気味でOK
ジャントール「さて…まずは、宿を探しましょうか」0:28
エレオノール(奥さん…旦那さん)0:24
ジャントール「エレオノールさん?」0:21
エレオノール「あ、そうですね。あ…あなた?」0:19
ジャントール「え!?……あ…えぇと…ゴホン…あっちへ行ってみましょうか!」0:14
エレオノール「ふふふ。はい!」0:06
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