Mémoire Antique
Valkyrie /キャプション:上野
Mémoire Antique
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#七色連歌 #蔵がりツクモ
琥珀/瑠璃:あいまいえいみぃ
懐かしい曲が蔵の外から聞こえてくる。
近所の子が歌っているあの歌は、あの子が昔歌っていた歌。
「懐かしいね」
隣にいる琥珀も気づいたようだ。
「えぇ、とっても、懐かしいね」
明るい曲ではないけれど、あの子はこの歌が好きだった。
まだ小さいあの子が、拙く歌っていたあの歌。
それを歌いながらワタシたちを躍らせていた。
この曲だけじゃない。どんな曲も、あの子はそれはそれを楽しそうに歌いながら
ワタシたちを躍らせていた。まるで自分も踊っているかのように。
思い出す記憶が、音を奏でるように流れてくる。
弦を爪弾き、流れる旋律はとても綺麗で心地よい。
あの頃はどんな曲でも心が躍った。でも、今は…。
あの頃よくわかっていなかった歌の意味も、今なら分かる。
隣に座っていた琥珀が徐に立ち上がる。
「久しぶりにこの曲で踊ってみよう、瑠璃」
そっと差し出された手と琥珀の顔を交互に見て、小さく笑ってその手を取った。
「そうね、踊りましょう、琥珀」
蔵の中で2人は静かに踊る。
この歌の歌詞は、まるで自分たちのようだと瑠璃は密かに思いながら。
静かに踊る。曲が終わるその時まで。
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