第17話「Emergency」
プリンセス・アテナ
第17話「Emergency」
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第17話「Emergency」
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「何事だ」
不意に鳴り響くノックの音に、ドルガンが扉の外へ向けて声をかける。
「失礼致します!王宮騎士団第二騎馬隊より、騎士団長殿に取り急ぎご報告が御座います!」
「入りたまえ」
そう言われ、恭しく頭を下げるのも早々に、足早にドルガンの元へ向かってくる騎士団員。
「どうしたのだね、そんなに慌てて」
「騎士団長殿!ああ、セレネ殿も……不躾に申し訳御座いません。
しかし緊急事態なのです、国内各地の街道にたくさんのモンスターが……!」
「なんだと!?」
🗡「国内各地とは……」
「く、詳しい状況を、今判明している範囲でお伝え申し上げます!」
━━━その日、グランツ王国全域の主要街道に突然モンスターが現れ始めた。
特定の種族のモンスターが増えたというような様子ではなく、これまで国内で存在がみとめられていた様々な種のモンスターや、さらにはこれまで国内では見かけなかったようなモンスターも現れるようになったのだという。
今までも“街道を利用すれば決してモンスターと遭遇することはない”というわけではなかったのだが、これまでそれぞれの縄張りでひっそりと暮らしてきたような、以前にはその領域を侵さなければ遭遇することのなかったようなモンスターたちが、国民の行き来する街道に現れるようになったというのだ。
つまり━━━原因は分からないが、これまで縄張りを離れなかったモンスターたちが突然揃いも揃って行動範囲を広げたか、あるいは数自体が突如として爆発的に増え、その姿を人間の生活領域に現すようになったか━━━ということである。
「うむ……いずれにしても、あまりにも突然でどうも釈然とせんな」
🗡「ええ、街道の安全を確保するのと同時に、理由を探る必要がありそうです。街の被害状況はどうなのですか?」
「それが……これも不自然な点なのですが、今のところ街や村が襲われたという報告は一切入っていないのです」
🗡「そうですか……首都に近い大きな街は城塞の備えもありますから、低級のモンスター程度ならそうやすやすと入っては来られないはずですが、地方の村部は心配ですね。まだ被害の知らせがこちらに届いていないだけかもしれませんし」
「そうだな、まずは早急に隠密部隊を走らせ、被害状況の把握に努めよう。
私はこれから軍議に向かう。セレネ、お前は姫様のところへ戻りなさい」
🗡「はっ」
「ああ、それと、これは親心からのアドバイスだが……アテナ様に、モンスターの話はせぬほうがいいかもしれん、な」
🗡「……ええ、私も同感です」
ドルガンの執務室を出たセレネは、預かったNORNメンバーの調査書を眺めてふぅっとひとつため息をついてから、覚悟を決めた顔でミナーヴァの面々が住まう部屋へと向かうのだった。
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【BGM】
天音シキ様
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【テキスト】
あきなと。
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