「蒼の探索」(星干し)
秘密結社 路地裏珈琲
「蒼の探索」(星干し)
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「......待って、もう一度見せて」
私の頭は、すでにズキズキと痛んでいる。
段々この痛みが、記憶を取り戻すための苦しみだとわかり始めて、かえって気が楽になってきた。なんなら燃えている。こうなればとことん真っ向勝負だ、一度は逃げた運命に、もう一度向き合えるなんて、このチャンスを逃してはならない。
「何か思い出せますか!?ゆっくり、というか、程々に記憶を」
「あっはは、頭割れそう......だけど、また戻ってきたよ。それ、ヨウの愛車だ」
星こちゃんが街外れの瓦礫山で見つけ出した水中グライダーは、船に備え付けてあった偵察機、”トビウオ“にとても良く似ていた。ヨウはある日、あれに乗って水を切り裂き、外の世界からやってきた。
彼はなんでも簡単に機械を修理して見せて、不便が有れば有り合わせで物を作ってくれたっけ。神様みたいだねと褒めたら、”その通り、俺の家系は、機械の神様から世界一の創造力を受け継いだんだ“って鼻を擦っていた。
そして、私に”今のは秘密だよ“と、口封じのキスをひとつ...そう、彼は、王様が最後の希望、カメというラブレターを王妃へと届ける為、秘密裏に腕を託した血を継ぐヒト。
私はここまで思い出して、ひとつの疑問を手にした。
「...なんで私、今、ヨウが”外の世界から“...って」
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”旧式水中グライダー“を発見しました。サルベージは難しそうなので、写真だけ。
ヨウは、王様が秘密で技術を継承した存在”希望の血統“のひとりだったそうです。
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