シング=ライカマジク
nyanyannya
シング=ライカマジク
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「ルゥが、おねえちゃん……?」
「あぁ。お姉ちゃんとして、いずれ妹か弟か……赤ちゃんが出来たら名前をつけて欲しいんだ」
「なまえ……」
「どうだ?」
「ふふん!ルゥほどすごいおねえちゃん、ほかにいないんだから!」
「ルゥ……。あぁ、そうだな。ありがとう」
ある日のことだった。
あの人が怪我をした時から、助けてくれてたお姉さんがいた。あの人とお姉さんは、とっても仲良くなって結婚を考えていたらしい。でも、ルゥのこと迎えに行かない限りはって、ずっと待ってたとか。だから、そろそろ落ち着いてきたしって、お姉さんのことをルゥに紹介してくれた。
でも、ルゥにはちょっとよく分かんなくて、もしかしてイサンメアテノケッコンサギってやつとかじゃないかなって思って、お姉さんと会ったばかりの頃は警戒してた。暫く見てたら二人とも楽しそうだし、お姉さんはルゥにも優しくしてくれるしで、なんか大丈夫そうだしいいかなって。
そしたら、あの人はルゥのパパもママもいなくなっちゃったことを知ってたから、ちゃんと娘になってくれないかって抱っこしてくれた。
あの人とお姉さんがパパとママになる。
それは何だか不思議な感じで、パパのこともママのことも覚えてるのに、新しいパパとママっていうのが変な感じだった。だから、パパともママとも呼べないけど、でも、家族って、ちょっとだけ嬉しいような気もした。
それから暫くして、二人の間に赤ちゃんが出来てたことを教えられた。しかも、二人も!あの人は凄い変な顔で「え゛っ?」って言ってたし、予定じゃなかったとか何とか言ってたけど、とにかくおめでたいことらしい。
お姉さんのお腹がどんどん大きくなるから、体って不思議。お腹の中で元気に動くからお姉さんのお腹が割れちゃうんじゃないかって音が聞こえる度にビックリしたり、あの人も初めてのことでワタワタしてた。
でも、お姉さんのお腹が割れちゃうことはなくて、赤ちゃんたちは元気に生まれてきた。ルゥはまだ名前を考えてあげられてなくて、どうしようかなって夜中の海に潜って考えてみたり。お友達のフォルテと相談してみたり。
「ルゥちゃん、おなまえつけるの、へただもんね……」
「うっ……。へ、へたじゃなくてコセーテキなんだもん!かんちがいしないでよね!」
「ま、まぁ……うん……。ふっとびシジミまる……」
「だ、だってシジミふっとんだもん!」
「にんげんのこどもには、ふっとびとか、ばくはつとか、つけちゃだめだよ?」
「もう、わかってるってばぁっ」
「あははっ、ごめんね」
相談はあんまり役に立たなかったけど、赤ちゃんたちが生まれた日の、まだ星がキラキラしてる夜明けの空はとても綺麗だったのを思い出した。朝と夜の真ん中。パパもママも、ルゥが生まれた日はずぅーっと空がキラキラしてたって言ってたなぁ。
もしかして、誰かが生まれる日は空がキラキラなのかな?でも、そしたら毎日がキラキラしてないと変!だって、あの人が前に言ってた。毎日、誰かが生まれて誰かが死んじゃうんだって。死んじゃう人が多いと、みんな悲しくって空もキラキラしないのかな?何だか不思議。
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