第十話「父と娘」
プリンセス・アテナ
第十話「父と娘」
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第十話「父と娘」
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アテナは中央ホールを駆け抜けて、ミナーヴァの面々が待つ広間に向かって東廊下を進む。
その時だった。
「アテナよ」
👑「……お父様」
そこには、険しい顔をしたグランツ国王、父王が仁王立ちしていた。
👑「どうしたの?お父様。私、親衛隊のみんなに用があるの。そこをどいてちょうだい!」
「アテナ、お前、何かわしに隠していることはないか?」
👑「ないわよ!用事はそれだけ?私忙しいの……」
「アテナ」
強い語気で名前を呼ばれ、アテナは押し黙る。
「お前の『親衛隊』は、随分と暢気な鍛錬ばかりしているのだな。毎日歌や踊りのレッスンばかり……」
👑「そんなことないわ!今日は王宮魔術師団の師長から火炎魔術の手ほどきも受けたし、剣の修行もしっかりしてるもの。
歌やダンスは……教養よ、教養!」
「今日、城下町の仕立て屋から荷物が届いていたぞ。安全のために中を改めさせてもらったが、まあ……親衛隊の制服にしては随分と派手だったな」
👑「お父様、私の荷物の中身を勝手に見たの!?最低だわ!!」
「最低とは何だ!!お前が勝手なことばかりするからではないか!」
👑「勝手なことですってぇ!?だってそれは、お父様が私に何も許してくれないからじゃない!!」
「お前は一国のプリンセスなのだぞ!やれ遊びだの、城の外に出るだの、そんな自由がまかり通るわけがないであろう!!」
👑「私は一国のプリンセスである前に一人の女の子なの!!!」
「アテナ!!」
嫌な沈黙が2人の間に流れる。
しばらくして、アテナが口を開いた。
👑「……ミナーヴァ。」
「何?」
👑「ミナーヴァっていうの、私が作ったアイドルグループよ。歌って踊れるだけじゃない、みんな魔術や剣や格闘の心得もあって、私の親衛隊としても申し分ないわ。」
アテナはまっすぐな目で父王を見る。
👑「必ず、お父様に認めさせてやるんだから。」
そう言って、アテナはグランツ国王の横をすり抜け、走り去っていった。
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【BGM】
Riro様
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【テキスト】
あきなと。
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