クリスマスマーケット
--
クリスマスマーケット
- 9
- 0
- 0
清らかな夜を告げて鐘が鳴り
透明な雪の欠片は
遠く 空を舞う
「ねえキャロル。ぼくらこのままどこへ行こうね」
「ねえキャロル。返事をしてよ、そこにいるなら」
雪にまぎれた聖なる夜に
失ったものは戻らない
街の灯りに隠された
夜の闇を
誰もが知っていて
目を逸らしている
数々のワゴンは希望をのせて
あとの轍にひっそりと残る影の色
「キャロル、きれいな夜だね」
「澄んだ鈴の音が遠くきこえる」
長いまつげに雪が降りかかる
朱をさした頬にふれる
君のあたたかな指先を憶えている
凍る吐息と君の声
遠ざかる温度
まぼろしにまぎれた祈りの夜
いとしい ぼくの キャロル
どうかいつでも歌をうたって
そこにいると教えていて
Comment
No Comments Yet.