僕らの戦場
ワルキューレ マクロスΔ
僕らの戦場
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🔥⚔️😈SUPERNOVA_HEROS
■第七幕〈僕らの戦場〉
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赤い炎と、黒い炎がぶつかり合う。
力は拮抗し、互いに疲弊していく。
(このままじゃ…埒が明かない…!)
花火が柏の隙を狙ってガッと柏の右手をつかみ、
自分の身体の方へ引き寄せる。
顔と顔がぐっと近づく。
目を合わせた一瞬、
柏の顔がとても悲しそう歪み、
バッと花火の手を振りほどいた。
「…ちゃんと戦ってよ…。」
「…もう…もうやめようよ。
私、柏と争うなんてできない。」
「…ふふ…そうよ、争う必要なんてないの…。
優しい世界を作るのよ…!誰も傷つかない、
誰も傷つけない、とても素晴らしい世界に…!
私頑張ったのよ…?たくさんたくさん頑張ったの…!
全部…あなたが望む世界のために…!」
「…私はそんな世界望んでない…!
いい加減目を覚ますんだ…!
私たちが望む世界は
こんな結末じゃなかったはずなんだ!!!」
花火が柏に突っかかり、互いに取っ組み合いになる。
使える魔法もほとんど残っていない。
「私は!柏が入隊試験で落ちた理由を知っている!!
柏は優しすぎたんだ…!
その辺に咲いてる小さな花だって助けてしまう
そんなやつが、急にパイオニアになった人を
躊躇なく殺せるはずない…!
落ちて当然だ!」
「…!うるさい!!あんたが入隊試験に受かった後、
私がどんな気持ちだったか…あなたにはわから…」
「でも!!そんな柏が
今だって、ずっと大好きなんだ!」
その時、花火が振りかぶった手を
受け止めようとした柏が、
受け身をとろうとしたと足を崩し、倒れ込んだ。
その拍子に柏に覆いかぶさるように花火も倒れ込む。
「……。ほら、結局柏はパイオニアになったとしても
柏は柏なんだよ…。」
柏は受け身を取ろうとした瞬間に、
足元にある小さな花に気を取られていた。
「優しい、優しい柏。
私の大好きな、世界で一番の友達。」
涙が私の頬を伝って
柏の頬に伝う。
「…っ」
倒れ込んだ柏があまりにも苦しそうな顔をしていて、
私の涙のせいで、どっちが泣いているのか
わからないみたいだ。
すると少しずつ少しずつ、
柏の攻撃的だった表情が柔らかくなっていく。
「…私たちがどんな世界を夢見ていたか覚えてる?
パイオニアによって悲しむ人を出さないため。
それから…もう一つ。
これは柏が言ったんだよ。」
『パイオニアだって悲しませない。』
二人の声が綺麗に重なった。
「…覚えてるよ、花火。」
「…そっか…。
私柏が何回忘れたって、
何回でも教えてあげるよ。
君は優しい人だ。
それから、私が世界で一番大好きな友達だって。」
「…うん…!
ねぇ、…まだ、間に合うかな…私、こんな…。」
「大丈夫、まだ何かできることがある…!
白菊さえ倒せば…。」
「もう、遅いわ。」
★
「もう遅いわ。」
「遅いってどういう…?」
「今さっき、ここにいる私たち以外の
世界中の人が、花となり開花してしまった。
残るは私たちだけ…。」
「そんな…!嘘…。」
「もう、どうにもできない。私を殺したところで無駄。
花が一度開花してしまえば、
私を倒したって元には戻らないわ…。
ふ…あはは…。私も所詮はパイオニア…。
大切に想っていた人が願うことを
その人が殺されたことによる恨みでパイオニアになって…
何もかも…忘れてしまうなんて…!
ふ…ふふ…私のしてきたことって…
なんなのかしら…。
もう世界が終わっていくのを見ているしか…。」
人間がこの世界からいなくなってしまう。
そんな事態を止めるための術が何一つない。
思考が止まりかけてぼーっと景色を目に映す。
分厚い雲に覆われた世界に
金色の花粉がキラキラと舞っている。
そこら中には真っ白い花がたくさん咲いていて、
世界の終わりは、こんなにも美しいのかと思った。
その時、
『…しっかりしなさい、白菊。』
気付けばフードを深くかぶった女性が
白菊たちの後ろに立っていた。
長い銀髪がゆらゆらと揺れている。
「…どうしてあなたは生きているの…?
この世界の人間はもう、
私たち以外残っていないはずじゃ…。
あなた…何者なの…?」
「私はあなた。
あなたは私、かな…。うふふ。」
フードを被っていて顔が良く見えない。
でもshiragikuの声が反響したように聴こえるほど
shiragikuの声とよく似ている。
『私にはこれくらいしかできないのですけれど…
ごめんなさいね、shiragiku…。
って私に謝るなんて変な感じです。ふふ。』
「なんの話…?」
『…ここに、一輪の白菊の花があります。
これはどんな願いも叶えてくれる魔法の花。
きっとあなたたちが望む”優しい世界”を
作ってくれますわ。
花を手に持ち、強くあなた方の願いを込めてください。
…でも何かを成し遂げるには代償が伴うものです。
優しい世界が実現できたとしても、
この花を使った人だけは
この世界に取り残されますわ。』
「そんな…。」
「…私が使う。」
「花火…!
ダメよ、花火がいなくなるくらいなら私が使う…。
世界をこんな風にしてしまったんだもの…
その責任は私が…!」
「…はぁ…!…うぅ…。」
急にshiragikuが苦しそうに呻きだした。
shiragikuの身体から根が生えて地面に
足を伸ばし始めている。
「shiragiku…お前…!」
「時間…かしら…?
本来ならもう、私の計画は完遂していて…
私すら花になるつもりだったもの…。
ふ…ふふ…自分で仕組んだ結末なのに…
今更になって…あの人が望んだ世界を…
見てみたいだなんて…。」
(…また独りぼっちになるのね…。
戦場で生きていたあの日々のように…。
自分の最後ですら
私を想ってくれる人は誰もいない…。)
すると遠くから一羽の烏が彼岸花を咥えて
shiragikuの元へ飛んできた。
(あぁ…そうね、ふふ…。
私にはあなたたちがいたわね…。)
白菊は安心したかのように
とても嬉しそうにふっと笑った。
少しずつその身体は花に侵食されて
shiragikuの花は朽ちていった。
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song
No.04 柏-kashiwa-
(cv.ぱりた https://nana-music.com/users/1035763/)
No.05 花火-hanabi-
(cv.Reika https://nana-music.com/users/763263/)
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lyrics
🍃柏 🎇花火 ⚜️2人
🍃たとえば 途切れた空が見えたなら
震える 僕の声が聞こえるのなら
🎇バラバラに砕けるほど 舞い上がれ
引き裂かれた記憶の 果敢なきツバサ
🍃あの日 語り合ったこと
いつも 笑い合えたこと
🎇よみがえる日まで
立ち上がるだけ
🎇(🍃)壊して もっと もっと 僕を感じて
そこに そこに 君は居ますか
🍃戦場に咲く命よ
🎇燃えろ 燃えろ
🍃(🎇)殺して いっそ いっそ 朽ち果てるなら
たぎれ たぎれ 破滅の果てに
🎇奇跡を呼び覚ませ
⚜️閉ざされた空へ
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ストーリー:百
校閲:くろむ
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