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ガランガランと遠くで17時を知らせる鐘が鳴ると、幼い子どもたちは遊んでいた手を止め、散り散りに家族が待つ暖かい家に帰って行く。
「夜にあの森には近寄ってはいけないよ。それはもう恐ろしい顔をした魔女の瞳に魅せられて帰って来られなくなる。」
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「おやつの時間だよ。」
コンコン、と自室の扉を叩く音に続いて声をかけられると同時にふわり、と焼き菓子の甘い香りが鼻腔をくすぐる。何度も読み込んだ「魔女の森」という絵本をぱたん、と閉じてにこ、と微笑み「はぁい♪」と間延びした返事をすると、扉越しに足音が離れて行くのを感じた。
「ここには恐ろしい顔をした魔女なんてひとりもいないのに、馬鹿な人間たち。」とこの本を読み返す度に私は心の中で悪態を吐くのであった。
「この深い森の奥の古びた洋館に住む住人は、魔法を教えてくれる優しいお姉さんと、「異色の瞳を持った生贄」として親族にこの魔女の館に連れてこられた少女たち、そしてなぜか私たちの言葉を喋る黒い猫。」
「時間に囚われない穏やかな日々を知らないなんて。」
「こんなに美味しいクッキーの味を知らないなんて。」
「こんなに便利な魔法が使えないなんて。」
「暗くなったら家族が待つ暖かい家に帰らなくちゃいけないなんて。」
「にんげんって、可哀想。」
勝手に産み勝手に捨てたにんげんを、自分が過ごしてみたかった「当たり前」を、そんな風に強がって幾度となく哀れみ見下してきたのは終末には抗えない事を知っていたから。
〜遠い未来に「特別な力」をもち産まれてくる【選ばれた贄】が揃って祈りを捧げる時、この惑星の運命が大きく変わる〜
私たちはこれは御伽噺のような現実の話である、時がくれば貴女たちに祈りを捧げてもらう事になってしまう、と優しいお姉さんに何度も聞かされて育ってきた。
どんなに足掻いても、どんなに魔法が便利でも、どんなに穏やかな日々でも、私が、私たちが「惑星を変えるためだけに存在する贄」である事には変わらないのに。
※ ギフト機能の受け取りは一切拒否させて頂きます。
00:このユニットについて
https://nana-music.com/sounds/05ab0e14
01:募集キャラクターについて
http://nanos.jp/utg7/album/2/
02:応募について
https://nana-music.com/sounds/05ab0e1a
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