透明アンサー
じん 自然の敵P
透明アンサー
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その年、彼女は毎日わたしをテイクアウトしては、河川敷で座って食べた
食べている間、彼女は笑わなかった
「わたしね、つかれちゃって」
そしていつも、少しずつ言葉をこぼした
「ともだちも、お父さんも、私を見てくれない」
「がんばったってなんにもなんなくて」
「今日、持ってった体操服、なくなってた」
「かえったってだれもいない」
「でも誰かいるのも怖い」
「あしたがこわい」
「笑顔で振る舞うのが辛いのに、笑顔が外れてくんないの」
「だれかにたすけてほしい」
「助けて」
「……おいしい、なあ」
「美味しい、」
弱いのに弱くなりきれなかった彼女は、その月の終わり
高い高いビルから落ちていった。
望んだ人の目に、好奇の目に晒されながら、あっというま
言葉も姿も何も持たないわたしは、ただ見ていた
なにもできぬまま
姿を得た今、一つずつ考えるんだ
あの日々のあなたを、忘れずに
わたしだけは、ずっと
ずっと
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