恋のコード
Military Girls★
恋のコード
- 37
- 4
- 0
『逸らして始まる 恋のかけ引き』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
-𝔖𝔱𝔬𝔯𝔶-
ある日の放課後。夕陽の射す美術室でリヴィは、ロ―メリーに話すことを決めた。自分の過去のことを。
ロ―メリーは私と関わるべきではない。心の奥底でそんな思いを抱えたまま日々が過ぎ、一か月が経った。ロ―メリーは変わらず放課後になると美術室を訪れ、自分の絵を描いたりリヴィの絵に色を付けたりして過ごしていた。リヴィから距離を置こうとする気配はなく、リヴィの過去を知っているのかすら分からない。本当はすべて隠しておきたかったけれど、これ以上親しくなりすぎれば、離れられたときに苦しくなる。
迷いも葛藤もあった。だけど、それらすべてを振り切って、リヴィは口を開いた。声が震えている。
「ロ―メリー、は……昔のことを……」
私の過去を知っているんですか。そう、聞こうとした。なのに、声が出てくれない。喉の奥が詰まり、胸が苦しくなる。泣くつもりなんてなかったのに、透明な雫が頬を伝って落ちた。
考えたくなかった。ロ―メリーに話を聞いてもらった末、嫌われるのが。距離を置かれるのが。弱いリヴィはきっと耐えられない。ずっと一人だったはずなのに、今はなぜだか怖くてたまらない。
不思議そうな顔をしていたロ―メリーだったが、涙を零したリヴィを見て、表情を歪めた。
「大丈夫だよ」
涙交じりの声で優しく告げられた言葉に、凍り付いていた心の奥が溶けていく。知られていたのだろうか。すべてを知った上で、今まで通り変わらずリヴィに優しさをくれていたのだろうか。
「知ってた、の……?」
ようやく絞り出せたのはそれだけだった。目的語をわざと省いた言葉。だけど、きっと伝わっている。ロ―メリーは遠慮気味に小さく頷いた。いつもなら、同情されていたのか、と思っただろう。いつもなら。だが、今回は違った。一ヶ月もの間彼女と一緒に過ごして、分かっていたのだ。ロ―メリーの純粋さ、真っ直ぐさに。正しくないことを正しくないといえる意志の強さに。そして何より、他人のために涙を流せるその優しさに。
ロ―メリーが口を開きかけ、すぐに何も言わずに閉じた。リヴィにかける言葉を探しているのかと思った。だけど、違った。彼女は何か大切なことをリヴィに伝えようとし、言い淀んでいる。
「「私は」」
二人の声が重なった。戸惑ったようにロ―メリーが首を傾げ、リヴィも口を噤む。沈黙が流れた。
視線だけで先を促すとロ―メリーは一瞬小さくうつむき、すぐにリヴィの方を見据えて話し始めた。意志の強い目だ。
「……私ね、夢を見るの。ずっとずっと昔の夢。前世、なのかもしれない」
急な告白だった。前世、なんていう予想もしていなかった言葉。そう告げる彼女の表情は今まで見たことがないくらいに真剣で、告げられている言葉に不似合いに感じる。嘘をついているわけではない、ということは彼女の気迫から窺えた。
「リヴィちゃんが言いかけてた“昔”って言うのも、そういうこと、なのかなって。だって、リヴィちゃんは……」
「待って」
脳が理解を拒んでいる。思考が追い付いていない。昔?リヴィにとっての昔はせいぜい十数年前の話。前世、なんて大層な、非科学的な、有り得ないものでは――
「約束、だよっ……」
不意に脳裏に声が響いた。聞き覚えのある、幼い声。頭がズキン、と痛む。
「約、束……」
意図せず声が漏れたのを川霧に、どこかの風景が浮かんでは消えていく。荒れ果てた世界。鳴り響く銃声。恐怖。リヴィに命令する白銀の少女。紅く染まった視界。呼吸困難。初めて見た光。揺れるツインテール。手を差し伸べてくれた。護らなきゃと思った。地獄から救い出して貰った。彼女がいたから、生きていようと思えた。傾いていく身体。急速にすべてが凍てついていく。頬を濡らす誰かの涙。最後に映ったもの。澄み切った紫の瞳。
何の記憶なのか。分からない。分からない。分からない――!
そんな思考とも言えない思考を最後に身体がゆっくりと傾いていき、リヴィは意識を失った。
目を覚ますと、真っ白な天井が目に入った。倒れた美術室の煤けた天井ではない。周りを見渡す。そこかしこに浮かぶ清潔な白。どうやら保健室、らしい。ロ―メリーが運んでくれたのだろうか。
倒れる前のことは、よく覚えていない。何か大切なことを思い出した気もするし、そんなものはなかったような気もする。思い出せないところを見るに、嫌なことだったのだろう。ならば、無理して思い出す必要なんてない。何をすれば良いか分からずただ虚空を眺めていると、ロ―メリーがこちらに向かって駆け寄ってくるのが見えた。涙の跡が残っている。急に倒れたりして、驚かせてしまっただろう。謝らなければならない。
「リヴィちゃん……!」
勢いよく抱きつかれた。どうすれば良いのか分からず内心では慌てていたが、それを務めて表に出さないように彼女を受け止め、ごめんなさい、と口にした。
「ううん、私こそごめんね。」
そう言葉が返ってくる。何が起きたのか覚えていないのだから、彼女の謝罪の理由は分からなかったけれど、ロ―メリーはそれを説明しようとはしない。まるで何もなかったかのように、いつも通りリヴィに接してくる。彼女の様子から何があったのか推測するのは困難に近いと思われた。
その日からもロ―メリーは至っていつも通りだった。何があったのかは分からないままだ。敢えて知ろうとは思わないが。
以前まで心の奥から消えなかった重苦しくて忌まわしい記憶の塊が軽くなっていたように感じたから、きっと良いことなのだろう。なら、気にしなくても良い。
ロ―メリーは、今日もリヴィの傍にいてくれる。リヴィにとって大切なのはそれだけだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
-ℑ𝔫𝔣𝔬𝔯𝔪𝔞𝔱𝔦𝔬𝔫-
Military Girls★は8/5~8/24の期間中、毎日サウンドを投稿します!
限定デュエットや学パロ自由合唱などの投稿を予定しています!お楽しみに♪
【投稿予定③】
8/15 🔗×🗝/💗×🔗
8/16 💗×🔗
8/17 学園パロサウンド①
8/18 学園パロサウンド②
8/19 学園パロサウンド③
8/20 学園パロサウンド④
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
-𝔏𝔶𝔯𝔦𝔠-
🎻一学期
おろしたて制服に「3年間よろしくね」
🧁大きめのサイズ感 少しだけかっこ悪い
🔗席は隣(🧁君が)
🔗手紙回す🎻「くだらない」
🔗笑っちゃうじゃん
繰り返してく毎時間
🎻なんとなく溜まってく手紙に
🧁なんでもない二人
🎷呼吸がリンクする
🎷恋のコード鳴り響いて きっと2人導いて
恋はまだ知らない 君が一歩近づいた
🎻何でなの?違うのに・・・
🧁君の事ばかりなんだ
🔗見つめ合う2秒間
🎷逸らして始まる 恋のかけ引き
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
-𝔐𝔢𝔪𝔟𝔢𝔯-
🧁シャルロッテ Charlotte
(cv.未蕾 柚乃)
https://nana-music.com/users/2036934
丹色の悪魔。好奇心が強く、チャレンジャー。
飽き性で物事を長く続けることが苦手。
人に褒められることと目立つことが好きだが人に指図されるのは嫌い。子供っぽくワガママ。
負けず嫌いなのでゲームには負けたくない。難しいことはあまり分かっていない。
🎻ルーリ Lurie
(cv.瑠莉)
https://nana-music.com/users/6276530
紫苑の悪魔。いつもほんわかした笑みを浮かべている。
一見お人好しそうに見えるが実は腹黒の毒舌家。
ハピリとは仲が悪く顔を合わせるたびに喧嘩している。
ヴィリアと同じく召喚されたことに怒っており、報いを受けさせるべきと考えている。
🔗リヴィ Livi
(cv.唄見つきの)
https://nana-music.com/users/1235847
漆黒の悪魔。馬鹿真面目で融通が利かない。
自分のしたいことがなく、ただただ言われたことを忠実にやり遂げていく。表情筋が死に気味。
ラーニャとレオナを頭のおかしい狂人だと思っているが、どこかで2人に憧れている。
自分のいる場所なんてどうでもよく、ただ言われたことをするだけだと思っている。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
-𝔗𝔞𝔤-
#Military_Girls #ミリガ
#シャルロッテ#ルーリ #リヴィ
𝔑𝔢𝔵𝔱▶放課後ストライド
Comment
No Comments Yet.