【台本】はなひらくとき
声:貴方の御名前
【台本】はなひらくとき
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心から恋い焦がれることを知ったその瞬間(とき)、
突然の違和感に咳き込んだ私の口から溢れ出したのは、
白い花びらだった。
比喩でもなんでもない、
ひらりひらりとそれは緩やかに舞う。
床に散らばる花びらを拾った君と目が合う。
揺らぐ瞳の向こうに、様々な感情が窺えた。
湧き上がる熱が爪の先まで迸っていく。
対照的に身体の内側からじっくり、
しかし着実に、何かに占められてゆく。
時折臓器を締めつけられるような苦しさに息が詰まる。
ようやく静かに息をついて、私は悟った。
自分はもう間もなく花を落とすのだと。
恐れは不思議とない。
一歩、二歩とふらつく足でゆく、短い花道。
その先で触れた頬は熱を帯び、とうに濡れていた。
「泣くな、むしろ誇ってくれ。
これは証拠なんだから。」
花びらにのせた声を聞いた君の泣き顔が一層酷くなり、
思わず笑みが浮かぶ。
この気持ちを、この身の果てを知って流される涙が、
こんなにも愛おしいとは。
やっとのことで開かれようとした唇を一瞬、
指先で止める。
そして、口移す花弁にありったけの心を込めて。
「---。」
意識が遠退く最中、何度も名前を呼ぶ声が聞こえる。
ああ、なんて贅沢な最後だろう。
恋を知るのも、悪くない。
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心から誰かを恋い焦がれることを知る時、
その身の内から花が咲き、やがて死に至る。
(やがて倒れた身体からは皮膚を破って細い枝が伸び、
いくつもの白い躑躅が咲き、その身を濡らしていた)
文章:逆瀬ささめ
BGM:つみきの木目の埃様
⚠︎注意⚠︎
・素敵なBGMはお借りしているものです。
投稿者様にご迷惑にならない様にお願いします。
また、その方の方針にもよりますが拍手やコメント等
なるべく敬意を払っていただきたいです。
・コラボの際には台本を転載せずに投稿してください。
・自作発言やnana以外への無断転載はお止めください。
⚪︎端書き⚪︎
いつかやった診断メーカーでの結果を元に。
量が多いのでおさまるか定かでないです。
性別不問です。
(それで少々台詞の言葉尻が変わるのは構いません。)
どうぞ宜しくお願いします。
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1commnets
- 🌵Comic🐎🏜️🌵お借りしました