無限大の夢をお手伝いします!
キノシタ feat.音街ウナ
無限大の夢をお手伝いします!
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「あー、それはちぇりさんの依頼なんですよ。お店を一緒に盛り上げて欲しいみたいで…」
というニフの説明がいけなかったのかもしれない。出張所で張り出されている依頼表を掴むとメアリは楽しそうに叫んだ。
「盛り上げる…それは我等大道芸一門の使命ネ!メアリにおまかせヨ!待っててちぇり!今行くネ!」
一気に弾けたかと思うと、嵐のように出張所を出ていった。出張所には説明書類を取り出した姿勢のまま独りぼっちのニフが固まっていた。
「ちぇりーーーー!メアリが来たヨ!この前のきらきらお花摘みの時のよに、一緒に頑張るネ!」
ニフから受注の連絡がない為、突然の訪問に耳が逆立ったちぇり。驚きで胸を押さえながら振り返る。
「わわわわ!メアリちゃん!!びっくり!!ようこそー。御用は何かなぁ?」
メアリは出張所での話をする。やっと状況を把握したちぇりは嬉しそうに尻尾を躍らせた。
「わーい!メアリちゃん、依頼受けてくれたんだね!!いつもショーをやってて、キラキラしてるメアリちゃんならきっと凄い広告になるよね」
「もっちろんネ!お客さんを呼ぶためにショーをやる事もあるカラ、龍に乗った気で任せて欲しいヨ」
メアリはいてもたってもいられない様子で、早速用意に取り掛かろうと、飛び出して行った。
「きゃん!待ってよ!メアリちゃーーん」
たどり着いたのはメアリの家の倉庫。中にはショーに使う小道具がぎっしり。衣装も掛けられていた。動きやすそうなカンフー着、豪華絢爛なチャイニーズドレス。愛らしい柄が目を引く民族衣装…。
「くぅぅん!すごいすごい!見た事も無いお洋服に面白い道具!わ!これはなーに?」
「綺麗でショ?この衣装は、昔、嘉嘉のお姫様しか着れなかったんだヨ!コレはネー、武芸を極めるお坊さんのお洋服ヨー!哎呀ー!!」
テンションの上がったメアリは次々衣装や小道具の説明をしだした。説明が変わる度、面白ーい!と歓喜の声と拍手。
「…凄い…このお部屋だけで街ひとつの歴史が詰まってるのだね!お姫様にも、兵隊さんにも、街の美人さんにもなれるんだね!」
「ショーの演目にも意味があるカラ、衣装も道具もちゃんと合わせるネ!」
「…此処に来たら、どんな自分にもなれそう…」
勿論ネ!と返事をしようとちぇりに目を移すと、真剣に倉庫を見渡す彼女の顔があった。
「あ、ごめんね!メアリちゃん!さて、何でも屋の広告をどうしよう…どんなショーなら伝わるかな?全力で手伝うから、なんでも言ってね!えへへ!メアリちゃんの案、楽しみー」
「…ふふふー。メアリ、良いこと思いついタ!本当に全力で手伝ってくれるネ?一言为定!!」
ついにメアリと約束した何でも屋広告ショーの日がやってきた。事務所に物凄い大荷物を抱えて現れたメアリ。ちぇりは驚いて声をかける。
「キャン!!メアリちゃん!言ってくれれば迎えに行ったのにぃ!」
「えー中身は内緒なのヨー。約束覚えてる?ちぇり!今日はバッチリ頼んだヨー!」
そうは言うものの、荷物の中身も今日の内容も話を濁して教えてくれない。不安になりながらもメアリを見つめるちぇり。
「さ!準備出来たネ!ココに立って!これを大きな声で読んでほしーネ!」
メアリが用意した小さな即席舞台。手渡された台本はニフの文字のようだ。頭に?を浮かばせながら、ちぇりは言われるまま舞台に立った。
「寄ってらっしゃイ!見てらっしゃイ!どんな事もドンとお任せ何でも屋!見てって欲しいヨ!」
メアリは大声で注目を引くと、ちぇりにGOサインを出した。慌てながらも台本に目を移す。
「キャン!え、えーっと…はじめまして!何でも屋のちぇりです。小さな願いから大きなお悩みまで、どんなお話も私にお任せ下さい!親切丁寧に皆様に寄り添います…」
台本を読んでいる間、メアリはちぇりに向かって大きな布をバサバサと翻し続ける。そのせいで時々布に自分が隠れてしまう。舞台に立たせて台本を読めと言うのに、なぜ隠すようなことをするのか…?訝しく思ったが、人は不思議と集まりちぇりに注目している。バサ!また布が目の前を覆う…。するとちぇりを見ていた子供が叫んだ。
「すげー!!今度は神様みたいな格好してるぜ!」
…?何の話だ?ちぇりは自分の姿を見てみる。すると柔らかな純白の布に身を包んでいた。まるで天女のようである。
「諦めてた夢や、叶えたい願い、解決したい問題、1人で抱え込まずに是非何でも屋にご相談ください!なりたい自分に、なりたい未来に、一緒に進みましょう!!」
読んでいる間にメアリの手で、王族から踊り子、軍人、偉人、酔っ払い…ちぇりは様々な姿に変身。…本当に相談したら何にでもなれるかも!そんな気持ちにさせるショーだった。
「ありがとうぅ!たくさん衣装も着れて、皆にもアピールできて、大成功だよ!!メアリちゃん本当に凄い!!」
照れながら笑うメアリ。しかし少し顔を顰めた。
「…大成功だけど、ニフの文章…カッチカチヨ。つまんないネ…偉い人の演説みたいだたヨー…」
雨が去った暑い1日なのに、出張所に大きなくしゃみが響いた。
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早着替えのショーを行いました。
(ちぇりの何でも屋 売上4)
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