声劇台本『ユメクイ』

声劇

========== ああ、いらっしゃい ……なんでそんなに泣いているんだい あ、やっぱり いいや、言わなくて。 きっと 君のことだから 心に穴が空いてたり、 後悔や 自責という鉛(なまり)に押しつぶされちゃう様な感覚なんだろう？ お人好しが過ぎるのも困ったものだね いや、なんでもない 数ヶ月とか、数年じゃ消えない傷があったとしても その先は誰にも分からないよ それに その蚯蚓脹(みみずば)れはいつか 、 顔や手がしわくちゃになってくれば 馴染んでわからなくなると思う さて 、と。 今から僕は 君を捕らえて離さない悪夢を ほんの少しだけ 食べるよ まったく。 君専属のユメクイになれて、僕は幸せ者だ でもそれよりも 君の幸せが 僕の幸せだって なんとなく気付いちゃったんだよね 今はまだ泣いたままでいい 自分を呪ったままでいい たまには此処に逃げて来たっていい その休息も 今の君には必要なものだ 時間はどうしたって かかるから まあ 安心してよ 君の悪夢は 僕が責任をもって美味しく戴くからさ その顔についた泣き虫が何処かに行ってしまう その時までは ========== #一人声劇 #こだぬき #四ノ宮りゐオリジナル