「一方、外では」
秘密結社 路地裏珈琲
「一方、外では」
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「........困りました」
「ちょっとキキョウ、どういうことか説明なさい!!」
「は、はっ!しかし...説明せよ申されましても...!!」
「まあ、そうよね...仕方ないわ。実質飲ませたの私だし...ごめんなさい」
これが恒例行事になっては困るのだが、徐々に定着しつつある。
頭を抱えてしゅんとするキキョウの足元に、上等な日本酒の小瓶が落ちている。
それも、しっかり武器として使用済みの状態で...。
致し方なかった。ケネディと鬼灯が大喜びで建物から出てきたかと思ったら、その後ろから無数の化け物がずるりずるりと這い出てきて、今にもとって喰わんと後追いを始めたのだ。
イチロウ達に正攻法を教わったものの、肝心の攻撃に用いる秘密兵器は今増産中。
「ど、どどどうしましょう!?キキョウ、このままじゃ私の可愛い辻斬ちゃんが!!」
勿論、もみじがそのまま見過ごすはずもなく、どうしましょうなんて言いながら次の瞬間には自ら化け物の群れの前に立ち塞がって、惜しげもなく、玉のような可憐な姿を餌に足止めを試みる。
こっちのセリフだ、どうすれば。
ひとつだけ可能性にかけるならば、ないことも、ないけれど...
一気のコールよりもたちの悪い切迫感に駆られ、手を伸ばした先は、懐の350ml瓶...
「......化け物は、しっかり追い払ったみたいだけど」
「...見失ってしまいました。意識と一緒に」
「うまいこと言わなくていいの」
どうかご無事でと、二人で暗い天に祈りを捧げ、キキョウはもみじの手を引き歩き始める。
目指すは、丘の上の教会。
「私ね、ケネちゃんに会ったら、まず抱きしめるわ」
「大変、よろしいかと...」
「それでね、蜜蜂ちゃんの頭を撫で撫でするの」
「それも大変、よろしいかと...」
ズビッとなった小さな鼻を、キキョウの花蜜の香りがするハンカチがそっと抑えた。
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※キキョウとモミジが合流予定です。
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