夜の森に星
声劇
夜の森に星
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幻想的な声劇を読んでみたかったのです。
尺の関係上、少し早口ですが、ぜひ、お聴きください。
シークレット解禁 2020/08/26
台詞
澄み切った空気に涙が自然と溢れた。
ささくれた心が少しずつ解(ほど)けて闇夜に溶けていく。
満点の星は、幾ばくかの理性と優しい気持ちの象徴のようで、
素直に綺麗だと思った。
一呼吸ごとに噛みしめるように夜の息吹を肺に送り込めば、
風に乗った虫たちの旋律が、心を落ち着かせる。
大地に身を任せ、星々が映す光のモノローグを眺めながら、
深い夜に抱かれ目を閉じる。
鼻腔をくすぐる森の香りにどこか蠱惑的な優美さを感じる。
しんしんと音もなく、されど確かにそこにある湿り気を帯びた空気が柔肌に触れれば、
じきに夜が明け、雨が降るのかもしれないとひとりごちる。
粘り気を帯びた空気がとぐろを巻いている姿を幻視して、まだここにいたいと思う心にそっと蓋をする。
今日はここまで。
夜の森で星を見るのは、贅沢でほんの瞬きしか楽しめない乙なものだ。
自然は美しい。されど、トゲはある。
ならば、帰ろう。
またすぐにくればいい。
今日のところはひとまず帰ります。
ありがとうございました。また来ます。
そんなふうに念じれば、気のせいかな深い夜に包まれた森は、なんだか寂しそうに揺れてくれたのだ。
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#Mizukiの声劇
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