【声劇】雨に紛れて【台本】
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【声劇】雨に紛れて【台本】
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最初から最後までイタダキマス
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君と同じになりたくて
飲んだこともないブラックコーヒーを買った。
いつもはない勇気を振り絞って。
田舎町にポツンとある自動販売機。
ブラックコーヒーの缶のフタを力任せに開けて、
傘をさしながら一口飲んだ。
口いっぱいに広がる苦味に眉を潜め、
心の中で「ウェッ…」と吐く。
それでも、そのあともごくごくと喉に流し込み、
苦いだけのそれを飲み干した。
お腹の中が苦味でいっぱいになった気がして、
空になった缶コーヒーを捨てたあとお腹をさする。
そうして、やっと歩き出した。
君と同じになりたくて、飲んだこともないブラックコーヒーを買った。
少しだけ、君に近付けた気がする。
そうして僕は言うだろう。
「僕もブラックコーヒーが飲めるようになったよ。おそろいだね」
そうしたら、「嘘ばっかり」と笑うんだ。
嘘じゃないよ。
少しだけ君に近付けた。
苦味が残る僕のそれで君の唇を塞いだら、
君は、どんな顔をする?
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あなたの思うままに。
Comment
5commnets
- 三鈴ありがとうございます。 優しく読んでくださって、ありがとうございました🙇
- リュウお借りしましたー!
- 小鳥游お借りしました!
- ちゃうおかりしました
- 小梅お借りします!!!