バロメッツの涙
バロメッツ:
バロメッツの涙
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バロメッツ…
実の部分に羊を宿した木…
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涙目のバロメッツから容赦なく、
肉と綿を手に入れる。
鳴こうが喚こうが、
目の前の物体は植物なのだと、
先入観が先走り、
ドロドロに汚していく。
甘い酒に舌鼓(したつづみ)。
日毎夜毎(ひまいよごと)の
宴に愛欲。
醜くもおぞましい涙の一滴に、
血が混ざることもいとわない。
実るバロメッツの目は
灯る炎だけを見つめている。
災厄を告げにきた。
そんなにも欲を愛しているなら、
その欲で死ぬがいい。
高笑いをするかのように、
バロメッツは揺れ動く。
憎まれる意味を知ればいい。
その一食にどれだけの死が、
加えられているか。
複数の命を食べ生きながらえる人間に、
恐怖と軽蔑を抱く。
星の数ほどの命の中で、
人間だけが異質だ。
進化の過程で膨張した、
なんてあわれな生き物。
炎の味も知らずに眠る寝顔だけが、
愛おしい生き物…。
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