微睡む月の夜のアリア
サーリヤ (CV.立花慎之介)/キャプション:上野
微睡む月の夜のアリア
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#七色連歌 #出席番号ゼロ
桂華恩律:斜庭
好き。大好き。私の初恋の人。
幼いながらも、「男」を好きになるなんておかしいとは思った。
でも、止められなかった。止めることなんてできなかった。
好きで好きでたまらなかった。
だから「女」になった。
あの人の理想になりたくて。
あの人の隣にいたくて。
あの人の「特別」になりたくて。
でも、それは叶わなかった。
世界が、「彼」を閉じ込めてしまったから。
今日も教室の窓辺の特等席で、空を見つめる。
今日、新作のアイシャドウが出るから、買いに行かなきゃ。
前回買ったのとは系統が違うものだから、最近買ったワンピースによく合うはず。
髪もいじって、鏡の前でお披露目しよう。
清楚系とクール系、彼はどちらが好みかしら。
好きな色は?好きなヘアスタイルは?
毎回お披露目するたびに、次は何を着よう?どんなメイクをしよう?と考える。
どのコーデだったら、彼が「可愛い」と言ってくれるか、考える。
「どれも似合うよ?」
なんて、屈託のない笑顔を浮かべて言いそうで、それを想像して少しにやけてしまう。
これが無意味なことだとわかっていても、私はやめることができない。
やめてしまったら、「彼」を忘れてしまいそうだから。
あの時、「彼」を好きだった自分の「キモチ」を否定してしまいそうだから。
だから、やめられない。
やめたくない。
世界が「彼」を閉じ込めてしまった今でも、私は「彼」を愛している。
その腕で抱きしめられなくても、夢の中でしか会うことが出来なくても。
「鍵」が、永遠に開かなくても。
私は、彼を愛している。永遠に。
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