「秘密結社 路地裏珈琲 会員No.1 」
秘密結社 路地裏珈琲
「秘密結社 路地裏珈琲 会員No.1 」
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これから始まる期待感と少しの不安
『以下コピペ』
まずは、姐さんのアンサーから↓
https://nana-music.com/sounds/04e8bb66
「なんだその顔、こないだサトウさん手玉に取って歌ってた女と同一人物とは思えんな」
「あのねえ、誤解招くようなこと言わないでくれる?」
「言い返すだけの気概があるなら問題ない」
俺は無言で、ガラスのポットを差し出す。
サトウさんが姐さんと呼んでいた女は、それに応えて、控えめにカップを差し出した。ゆっくり濃い琥珀を注ぐ間、彼女はじっと、上がってくる水面を見つめ黙ったままだった。
「不安か」
「当たり前じゃない」
「その割に、目が生き生きしてる」
「そうよね。そんな気もしてるけど、自分でも、よくわからない」
カップとソーサーが触れ合う音だけがまばらに響く室内で、俺は今すぐにでも、心配しなくたってお前は大丈夫だろうと、声を掛けたくて仕方がなかった。
こんな大人びた女の声をしているのに、危なっかしい少女みたいな好奇心、それでいて、こいつの目にはしっかりと、視線の先を見据える芯がある。自分の本当の顔は、残念ながら、自分の目に一生映る事はない。こんなにも鮮やかに、一番のりでカップを掲げた勇ましい姿にも、鏡がなけりゃ気がつかない。
珈琲の鏡が、彼女の手元でゆらゆらと満ちて揺れていた。
いつか機会が訪れたら、必ず今日の事を教えてやろうと思った。その時俺に見えていた、彼女から湧き上がる、春の芽吹きみたいな輝きのことを。まだ、今は邪魔してはならない。
「こぼすなよ」
なるべく優しい声色でそう告げて、俺は彼女の前から立ち去った。
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