「夜色の珈琲ゼリー」(姐さん結末)
秘密結社 路地裏珈琲
「夜色の珈琲ゼリー」(姐さん結末)
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☕で初めて出した曲。
これはお試し期間だったなぁ。
『以下コピペ』
「へえ、なるほど、華やかな印象の豆だね。聴いた限り、フレーバーに片足突っ込んだような、フルーティで女性的な.....少し待っててくれるかい?」
彼女の話を聴きながら僕が入れ直した珈琲は、苦味が先行して舌をさらった後、トロピカルフルーツのような甘さと酸味が香る、エチオピア系と呼ばれるものだった。自信満々に彼女へカップを勧めながら、自分もちびりとショットグラスに舌をつける。こんなのでしょ?って問い掛けたら、彼女は返事の代わりに笑顔を寄越した。
「なるほどねえ、そんな珈琲使ったゼリーも。僕、苦みを楽しむ食べ物だと思ってたけど」
味わう事は、想う事。愛とか恋とか、そういうこと。
僕には女の子の味覚は、よく分からない。甘いものは好きだけれど、マカロンを大はしゃぎで頬張るほど砂糖に寛容ではないし、果物をひとしきり楽しんだらすぐに、その糖蜜を水で洗い流してしまいたくなる。彼女のイメージする極上の珈琲ゼリーは、甘さこそなけれど、そういった“女子の嗜好“に該当する。おそらく僕の頭に自然と思い浮かぶような風味のものでは、なかった。
何故だろう、だけど何気なく一節歌ってくれたその歌が、えらく耳に心地よい。きっとその響きは、その味は、彼女の中にある“忘れられないもの“だ。僕は、そういうものならば、わざわざ作ってでも食べてみたいと思ったのだった。
悔しいかな、僕の意気地がたりなくて、相棒がよく磨いてくれたカウンターの上では、格好つけて指先を誘う事すら出来ない。もどかしく角砂糖を弄びながら、僕は彼女の歌が終わるまで、黙ってリズムをとっていた。
「もっと聞かせて、”それ“のこと」
* * * * * *
お歌とお声のイメージより。
お粗末さまでした。
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