タナトスの誘惑 朗読
min.あいろん.石田三成.さ
タナトスの誘惑 朗読
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🐷min👹あいろん🏹石田三成🌸さ
🐷8月15日。もうとっくに日は沈んだというのに、辺りには蒸し暑い空気が漂っている。
マンションの階段を駆け上がる僕の体からは、汗が止めどなく噴き出していた。
👹「さよなら」
たった4文字の彼女からのLINE。
それが何を意味しているのか、僕にはすぐに分かった。
🏹盆の時期にも関わらず職場で仕事をしていたわしは、帰り支度をしたあと急いで自宅のある石壁の建物に向かった。
そして、石壁の建物の屋上、フエンスの外側に、虚ろな目をしたおなごが立っているのを見つけた。
飛び降り自害を図ろうとするおなごの姿を見たのは、実はこれでもう4度目であった。
🌸世の中には2種類の人間がいるという。
生に対する欲動──「エロス」に支配される人間と、
死に対する欲動──「タナトス」に支配される人間。
この世界の人間のほとんどは前者だが、彼女は紛れもなく後者だった。
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