【声劇】菊の花

僕:

菊の花が咲いているなら、 それはきっと復讐だ。 -------------------- 菊の花が見えるのは、 夜だけだった。 茂った森に一輪だけ咲いているのを、 毎晩この窓から眺めている。 あれが何なのか、 何故夜だけなのかは分からない。 けれど、目を逸らしてはいけない気がする。 きっと、 僕のためだけに咲いている花だから。 歪んだ熱情。 頬に籠る熱を感じながら、 夜明けを待つ。 昔、生贄はあの場所で叫んでいた。 必ず毎日… もうなんて叫んでいたのかは 覚えていない。 でも 僕に捧げられるための生贄だった。 命の線引きをされている。 黄昏に帰るべき命は、僕の胃袋へ。 それはきっと幸福だと、 あの菊は決して言ってはくれない。 -------------------- #声劇　#1人声劇　#台本　#声劇台本 #レイシーの絵本