フタリボシ
カルティフィラム&ローズ
フタリボシ
- 41
- 10
- 2
「お待たせしました。箱にお包み致しました」
「ありがとうございます…!」
仕事帰りにたまたま見つけた菓子店。
その店先でカルティフィラムは
ケーキが入った大きな箱を受け取っていた。
こんな所にこんな素敵なお店があったなんて!
今度のお休みにローズと来てみよう…!
いや、とりあえずお土産に買っていこう…!
ローズ喜んでくれるといいなぁ……
カランと鐘を鳴らして足取りも軽く
店を出ようとすると、
ちょうどお店に入ろうとしていた
二人組の女性とぶつかりそうになる。
「あっ…ご、ごめんなさい…!」
浮かれていた自分を自覚していただけに
顔が熱くなり、ぺこぺこと頭を下げる。
女性たちはカルティフィラムの事を
一瞬、値踏みするようにじっと見つめたあと
ぱっと笑顔を顔に貼り付けた。
「いえいえ」
「こちらこそ、ごめんなさいね」
そして、そそくさと店へと入っていく。
扉が閉まりかける瞬間。
「ねぇ見た?」
「えぇ、珍しい色。びっくりしたわ」
すとん。と浮き立っていた気持ちが
どこかに落っこちてしまった。
横を見れば店のショーウィンドウに映る自分。
珍しい薄い桃色の髪と瞳。
前は目立たぬよう帽子に隠していた髪は、
緩く編まれて横に流されている。
飾られた白いリボンはローズが選んでくれた。
ぼんやりとその姿を見つめて、
何となくショーウィンドウへ手を伸ばし、
「カル~!」
「………わっ!?!?!?」
ぽすんと背中に軽い衝撃とともに
ケーキよりも甘く可愛らしい声が飛んできて
文字通りカルティフィラムは飛び上がった。
「ろ、ローズ!?ど、どうしてここに…!?」
「カルに会いたくてお迎えに来たんだよ!」
「えっ……!!!」
どうしよう、うちのローズがやっぱり可愛い。
ローズが可愛くて人生が楽しい。天使かな?
いや、多分本当に私の所に舞い降りてくれた
天使だと思うんだよね……!!!
ケーキの箱をかばいつつ胸に手を当てて、
摩訶不思議な声を出すカルティフィラムを
ローズは不思議そうに見つめている。可愛い。
「私もローズに早く会いたかったよ!」
思わずぎゅうぎゅうと抱きしめる。
けれど寂しがり屋のお姫様は何やらご機嫌斜め。
カルティフィラムにぐりぐりと
小さな頭を擦り付けて抱きついてくる。
「でも……カルったら寄り道してた!」
「えっ!?ご、誤解、誤解です……!
このお店でお土産のケーキを買ってて……!!」
「ケーキ!」
慌ててケーキの箱を差し出しすと、
ローズはぱっと目を輝かせる。
「カル、ありがとう~!早く帰ろう!」
「わっ…そ、そんな引っ張ったらケーキが……」
二人は笑いながら、手を繋いで家路を急ぐ。
指先を握り返すととても暖かくて。
見上げると藍色に変わりつつある夕暮れの空には
それはもう沢山の星たちが輝いていて。
それでも大切な星はたった一つだけ。
広い夜空でその星を見つけられた私たちは、
きっととても──幸福なんだろう。
#EQCENTRIEQUE #カルティフィラム #ローズ
-------------------------------------------------------------------------
満天の星たちが僕を
まるで祝福するみたいに瞬いているよ
満点の答えなんて
きっと見つけられないけれど
それでいいって思える
あの場所で見上げた夜空
僕らが誓い合った言葉
君が笑う 僕も笑う
それだけで幸せ
眠れぬ夜に恋をして 今すぐ君に会いに行こう
指先で繋ぐ星屑 描き出す夢
形のない光でも 君を想うほどに強く
見上げればあの日見つけた 二人星 輝く
Comment
2commnets
- ドールショップ【EQCENTRIEQUE】
- naon💫こんなのないちゃうよ....ありがとうウルツァイトさん....!!!! とっても素敵!!!!!!!