人形の歌

台本:難読　声:桜内はる

「人形の歌」 〜〜〜〜〜〜〜 歌いたい。 歌って素敵だ。 私の歌で皆を感動させたい。 演じたい。 演じるって楽しい。 私の声で物語を拡げたい。 「ありがとう、皆ありがとう！ 私はもっと、頑張るね！」 --- -- - —--頑張る？　これ以上、何を？ - -- --- -納得出来ない。 違う誰かが歌ってるみたいな、私の歌だ。 -褒められない。 形のない褒め言葉が私の体を通り抜ける。 -思うように演じられない。 私の声を発してるただの人形だ。 頑張ってる。なのに。 出来ない。出来る。やれる。やれない。 違う、違う、違う。 私は—[お前は]— 一体何がしたいの？ 私は--- 『そんなに嫌なら やめちゃえば？』 「違う……違う！！」 --- -- - ……出来ないからって、諦めたくないのに。 それを言い訳にしたくないのに。 どんどん理想と違う自分が嫌いになって。 まるで頑張れば頑張るほど、私が遠くなってく。 遠隔操作してる、人形みたいに。 ほら、こうして私が苦しんでいても。 遠くにいる私は、笑顔で歌って演じてる。 だから、もういいんだ。 どうせ諦めることなんて出来ないから。 これからも頑張ろう。 -----人形の私として。 了 -- 桜内 はるさん書き下ろし台本です！ 素敵な伴奏もお借りしました！ #BGM #ピアノ #声劇 #朗読 #instrumental