【朗読台本】古い眼鏡屋

台本:壬音 声:

眼鏡を変えたので一見すると良い話、深読みすると怖い話を書いてみた。 正と負は同時に見えるからこそ意味があるのですよ。 人称や言い回し等は読みやすいように変えて頂いて大丈夫です。 間を取らずにサクサク読むと5秒くらい余ると思うので、その辺の調整も適宜どうぞ。 ダンボールさんの素敵な演奏お借りしました。 (ｱｱｱｱｱごめんなさい4/14時点に訂正しました) 最後の文、一人称が「僕」になっていたので、 他の文と統一して「私」に修正しました。 14日時点でコラボして下さった方は 原文で読んで下さっているので 間違ってらっしゃる訳ではありません。 アップ後の訂正、謹んでお詫び申し上げます…。 ***** 「眼鏡を新調したいんですよ。」 その眼鏡屋は薄暗く、黄ばみ始めた壁紙がその年季を物語っていた。 「余計なものばかり見えるから替えたくて。」 『余計なものねぇ。ちょっと貸してみなさい。』 店主は私の眼鏡を受け取って、じろじろと眺め始めた。 『あんたこれ、いつ作ったもんだい？』 「数年前に作り替えた時、よく見えるようにしてくれって頼んだんだ。」 『そりゃあ「よく見えた」だろう。人の悪意や嫉妬、敵対心が見える気分はどうだった？』 「最低ですよ！！常に疑心暗鬼にかられて、気が狂いそうだった！」 『だろうなぁ。すまねぇなお客さん。これは俺の娘が作ったもんだ。随分と苦しい毎日だったろう。早速目の状態を測定して新しい眼鏡を作ろうか…。』 出来上がった眼鏡は、周りの景色がこれ以上ないほど綺麗に見える代物だった。 「ああ、ありがとう。本当に弱っていたんだ。」 店主はにこやかに私を見送ると、小さく呟いた。 「次は美しいものばかりが見えると良いですねぇ」 私は遠くに見える虹を眺めながら、大きな交差点を軽い足取りで渡り始めた。 ****** みおとのお話一覧 https://nana-music.com/playlists/1650630/ https://nana-music.com/playlists/1869568/ https://nana-music.com/playlists/3874906/ #台本 #朗読 #朗読台本 #声劇 #声劇台本 #一人声劇 #不思議 #嫌な予感 #死亡フラグ #不気味 #眼鏡 #壬音のお話