100万回生きた猫5
佐野洋子作
100万回生きた猫5
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どんなメスねこも、ねこのおよめさんに、なりたがりました。
大きな魚をプレゼントするネコもいました。上等のねずみを差し出すねこもいました。めずらしいまたたびをお土産にするねこもいました。りっぱなトラ模様をなめてくれるねこもいました。ねこは言いました。
「おれは、100万回もしんだんだぜ。、いまさらおっかしくって!」
ねこは誰よりも自分が好きだったのです。
たった一匹、ねこに見向きもしない、白いねこがいました。
ねこは白ネコのそばに行って
「おれは、100万回も死んだんだぜ!」
と言いました。白いねこは「そう。」と言ったきりでした。
ねこはすこし腹を立てました。なにしろ自分が大好きでしたからね。
次の日も、また次の日もねこは、白いねこのところへ行って、言いました。
「君はまだ1回も生き終わっていないゎだろ。」
白ネコは、
「そう」と、言ったきりでした。
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