百万回生きた猫2
佐野洋子作
百万回生きた猫2
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あるとき、ねこは船のりのねこでした。ねこは、海なんか嫌いでした。
船のりは、世界中の海と、世界中の港にねこをつれていきました。
ある日ねこは船からおちてしまいました。ねこはおよげなかったのです。船のりが急いで網ですくいあげると、ねこはびしょぬれになって、死んでいました。船のりは、ぬれたぞうきんのようになったねこをだいて、大きな声で泣きました。そして、遠いみなと町の公園の木の下に、ねこをうめました。
あるとき、ねこはサーカスの手品つかいのねこでした。ねこは、サーカスなんか嫌いでした。
手品つかいは、毎日ねこを箱の中に入れて、のこぎりで、真っ二つにしました。それから丸のままのねこを箱から取り出し、拍手かっさいを、受けました。
ある日手品つかいはまちがえて、本当にねこを真っ二つにしてしまいました。手品つかいは真っ二つになってしまったねこを両手にぶら下げて、大きな声で泣きました。
誰も拍手かっさいをしませんでした。
手品つかいは、サーカス小屋の裏にねこをうめました。
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