『俵星玄蕃』声劇台本
三波春夫 俵星玄蕃より
『俵星玄蕃』声劇台本
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『俵星玄蕃』
忠臣蔵で架空の人物である。
赤穂浪士の一人、蕎麦屋に身を隠した杉野十平次が赤穂浪士の一人と知りつつ、自身の槍の極意を伝授し、自身も大石蔵之介の討ち入りの手助けをする。三国一の槍の名手。
〜以下台本〜
時に元禄十五年十二月十四日
江戸の夜風をふるわせて響くは山鹿流の陣太鼓
しかも一打二打三流れ
思わずハッッと立ち上がり耳を済ませて太鼓を数え
『おお、あれはまさしく赤穂浪士の討ち入りじゃ』
助太刀するはこの時ぞ、もしやその中に
昼間別れたあの蕎麦屋が居りはせぬか
名前はなんと今一度…逢うて別れが告げたいものと
稽古襦袢に身を固めて段小倉の袴を
股立高く取り上げて白綾たたんで後鉢巻目のつる如く
なげしにかかるは先祖伝来鍛えたる
九尺の手槍を右の手に行く手は松坂町っっ!!
吉良の屋敷に来てみれば今討ち入りは真っ最中
総大将の蔵之介、見つけて駆け寄る俵星が
『天下無双のこの槍でお助太刀をば致そうぞ』
云われた時に蔵之介…
「…深き御恩はこの通り、厚く御礼を申します。されども此処はこのままに、槍を納めて御引き上げ下さるならば有難し」
…かかる、ひとりの浪士が雪をけたてて
サク、サク、サクサクサクサク…
「先生っっ!!」
『おぉっ!蕎麦屋かっ!!』
おぉ…襟に書かれた名前こそ、真は杉野の十平次殿
『わしが教えたあの極意、命惜しむな名をこそ惜しめ
立派な働き祈りますぞ!』
さらばさらばと右左…
『赤穂浪士に邪魔するやつは、何人たりとも通さぬぞ』
と、橋のたもとで石突き突いて、槍の玄蕃は仁王立ち
終
噺家、講談師、演じる方はどうぞお好きなようにお遊びください。
私が大好きな物語です。好意を持ち、目に止まった有志が、是非にお遊びくださいますよう…
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